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テキーラのクラス(ブランコ、ゴールド、レポサド、アネホ、エクストラアネホ)と熟成について

テキーラ基礎知識

本サイトはテキーラの魅力を発信するため、未成年者の閲覧を禁止いたします。

テキーラのゴールドやアネホといった言葉はあまりテキーラに馴染みがない方でも、聞いたことがあるかもしれません。このようなテキーラのクラスと呼ばれる呼称は、テキーラの熟成などで条件付けれており、メキシコの法的拘束力のある規格により決められております。

テキーラのクラスについて

テキーラのクラスって何?

テキーラのクラスとは、主に熟成度合いによって変わる、呼称のことです。
これはNOMというメキシコの公式規格の中のNOM-006-SCFI-2012というもので定められております。
クラス別の条件は以下のとおりです。

クラス名外国向け別名樽での熟成期間樽容量備考
ブランコ(Blanco)/プラタ(Plata)シルバー(Silver)2ヶ月未満無色透明でなくても良い
ホーベン(Joven)/オロ(Oro)ゴールド(Gold)ブランコにレポサド以上をブレンド、もしくはブランコに着色したもの
レポサド(Reposado)エイジド(Aged)2ヶ月以上特になし
アネホ(Añejo)エクストラエイジド(Extra Aged)1年以上600リットル以下
エクストラアネホ(Extra Añejo)ウルトラエイジド(Ultra Aged)3年以上600リットル以下

ブランコ・プラタ・シルバーについて

この名称の意味としては、ブランコは「白」という意味、プラタとシルバーは「銀」という意味になります。色は規定(NOM)にも透明な製品ではあるものの無色でなくても良いことが記されております。(Transparent product not necessary colorless/出典:CRTサイト内英語版NOMより)

ブランコは樽での熟成期間が2ヶ月未満となっております。そのため一般的には一切熟成していないのではと思われがちですが、樽熟成していても2ヶ月未満であればブランコと呼称することができます。
有名な銘柄だとエラドゥーラというブランドでは45日間プラタでも熟成しております。この銘柄は若干樽由来の色がついております。

またオーク樽以外のもので熟成した場合、2ヶ月以上の寝かせた期間があっても、基本的にはブランコとなります。
例えばCalle23というブランドのブランコは3ヶ月もステンレスタンクで寝かせているそうですが、当然オーク樽ではないのでブランコとなります。
ステンレスタンクで寝かせるメリットとしては、味がまろやかで落ち着いたものになるそうです。

オロ・ホーベン・ゴールドについて

オロ(Oro)・ホーベン(Joven)・ゴールド(Gold)ですが、意味はオロとゴールドが「金」、ホーベンが「若い」という意味になります。

このクラスで実際に発売されている商品は、大きく2つの種類に大別されます。
一つはブランコにカラメルやオーク材のエキス・チップなどを混ぜたもの

もう一つはブランコにレポサド以上の熟成したタイプのテキーラを混ぜたタイプのものとなります。

前者は比較的安価なミクストテキーラに多く、後者は100%アガベ・テキーラで作られている傾向にあります。後者は発売されている銘柄も少なく、カサノブレというブランドのホーベンが該当します。

レポサドについて

レポサドとはスペイン語で「休んだ」という意味になります。2ヶ月以上樽で熟成されたテキーラに使用することができる呼称となります。ここで注意したいのは、アネホやエクストラアネホと異なり、樽のサイズには制限がないです。
そのため、1年以上の熟成をしていても、樽のサイズが極端に大きい場合はレポサドと呼称することとなります。

アネホについて

アネホはスペイン語で「熟成した」という意味になります。条件としては「一年以上の熟成」「600リットル以下の樽を使用」が条件となります。ブランコ・レポサドよりも樽の香りをしっかりと感じられる味わいになっております。
アルファベットだと「AÑEJO」と表記するので、「アネジョ」と読みたくなりますが、日本語だと「アネホ」もしくは「アニェホ」と表記します。正式な読み方としては「アニェホ」に近いですが、通販サイトなどでは「アネホ」と表記されることが多いため、本サイトでは「アネホ」と表記いたします。

エクストラアネホ

エクストラアネホは「3年以上の熟成」また「600リットル以下の樽を使用」が条件となっております。
このクラスは2006年までは存在しなかったクラスです。CRTは数年に一度NOM(規格)を改定しており、2006年からNOMに正式に記載されるようになりました。

熟成感は大変深く、樽香をしっかりと感じられます。逆に言うと樽香が強くなるため、テキーラらしさを感じづらくなるとも言えます。個人的には適度な熟成感であれば、テキーラらしさも感じつつ、熟成も感じられるので、銘柄の選び方次第かなと思います。

クリスタリーノ(公式のクラスではない、公認された呼称)

2022年3月現在、NOMには記載されていないクラスですが、2016年にCRT(テキーラ規制委員会)が公認したのがクリスタリーノとなります。
2012年にドン・フリオが70周年記念として作ったアネホを活性炭でフィルタリングしたものが一番はじめのクリスタリーノと言われております。その後、またたく間に人気ジャンルとなり、各社から発売されたため、CRTが公認したといった状況です。今後、正式にNOMへの記載が期待され、正式なクラスとなるのではと思います。

参考:CRTのクリスタリーノ公認の文書より(スペイン語)

テキーラのクラスに関する豆知識

テキーラの外国向けのクラス呼称(シルバー、ゴールド、エイジドなど)について

上記表の外国向け呼称ですが、主に使われているものとしては、シルバーとゴールドになります。

シルバーは古くから外国向けに発売されている銘柄で使用されることが多い呼称です。テキーラのカテゴリー(100%アガベかミクスト・テキーラか)は関係なく使用される呼称という印象です。
銘柄としてはクエルボ(エスペシャル/トラディショナル)やパトロン、サウザなどで使用されております。

ゴールドに関しては、多くは100%アガベ・テキーラではなく、ミクストテキーラに使用されるケースが多いです。また日本で発売されている商品については、レポサドと混ぜたものではなく、着色したものが大半です。

2022年3月にアマゾンで「テキーラ ゴールド」と検索すると、10番目までに表示された商品のうち、100%アガベ・テキーラは1商品(アガバレス・ゴールド)にとどまっておりました。

なぜ3年のエクストラアネホまでしかないのか?

普段ウィスキーを飲む方からすると、3年の樽熟成って言うと物足りない印象を受けるかもしれません。例えばスコッチウィスキーだと3年はスコッチウイスキーと名乗るための、熟成の最低ラインなので、もっとも熟成するクラスの条件が3年とは意外に思われるのではないでしょうか。

実際に飲んでみると、ウィスキーの3年とは比較にならないような熟成感・樽感を感じることできます。この背景にあるのは、メキシコの気候です。熟成に関する記事に詳細は記しておりますが、暑さから熟成感・樽感が出やすく、またエンジェルと呼ばれる揮発も大変多くなっております。そのため3年でも十分熟成感を楽しめるため、もっとも熟成したクラスが3年までとなっております。以下にエンジェルシェアの減り方をテキーラとウィスキー、それぞれ画像を参考までに貼っておきます。

siptequila.comよりエンジェルシェア
ウィスキーのエンジェルシェア:distillerytrail.comより

【熟成のルール】
この熟成ごとのクラスを定めているルールがNOM(Norma Oficial Mexicana/メキシコの公式規格)と呼ばれるものです。
NOMはテキーラだけにかかるルールではなく、法的強制力を有するメキシコの規格で、製品、工程、サービスが人、動植物、環境にとってリスクをもたらす恐れのある場合に、これらを強制的に規制するとともに労働安全領域、ラベルの販売情報を規制するものです。(参考:JETROより)
テキーラはNOMの中のNOM-006-SCFI-2012というものによって、製造や呼称、ラベリングの条件が決められております。
規格に合致していない商品はテキーラとは呼ぶことができません。

テキーラのクラス分けのベースとなる樽熟成について

熟成が進んだほうが美味しい?

ブランコに比べると、アネホのほうが高価なこともあり、「熟成が進んだほうが美味いのではないか。」と思われがちかと思います。ただテキーラ好きであればあるほど、ブランコもアネホもどちらも好きで、場合によってはブランコのほうが好きという方もいらっしゃいます。

これはテキーラの原料であるアガベの味をダイレクトに感じられ、製法による違いを感じやすくなるためだと思われます。私自身もテキーラ初心者のころよりも更にブランコが好きになっていると思います。

同じアネホにおける色の違い

アネホというと、前述したとおり一年以上の熟成が必要となるため、濃い色をイメージすることが多いと思いますが、以下の写真の通り銘柄によって大きく色味は異なります。

エラドゥーラとオチョ

これは主に「使用している樽」と「樽への火入れ具合」によるものが大きいです。主にテキーラの樽は「ホワイトオークの新樽」か「バーボンなどで使用した中古樽」が使用されます。新樽のほうが色素がアルコールに溶け出ていないため、濃い色になり、中古樽の場合は色が薄いケースが多いです。

また初めて使用する樽や、再度樽を使用する際、火入れ(チャーもしくはトースト)を行って、樽の内側の面を焦がすのですが、その焦がし方によっても、テキーラの色が変わってきます。

各クラス別の売上について

日本における売上の割合

日本における100%アガベ各クラス別の売上を2019年と2021年を以下の表にまとめてあります。

総量BLANCOJOVENREPOSADOAÑEJOEXTRA AÑEJO
2021年輸入量323,71588,48210,15272,659147,9364,486
2021年構成比100%27%3%22%46%1%
2019年輸入量223,221107,56916,56041,52255,9291,641
2019年構成比100%48%7%19%25%1%
単位:リットル/CRTの統計サイトより

2021年現在、アネホ→ブランコ→レポサド→ホーベン→エクストラアネホといった順番になっております。2019年と比べていただくと、総量も増加しておりますが、その増加の大半はANEJOの増加によるものという事がわかるかと思います。アネホの中でも、1800というブランドが特に伸長しております。ただし、ゆっくりと楽しむテキーラの飲み方というよりは、ショットで飲むテキーラが以前はクエルボのエスペシャルだったものが、高級なラウンジやバーなどで置き換わっているというのが実態のようです。実際、「#1800アネホ」と調べると、パーティピーポーな方々がInstagramでは表示されます。

アメリカにおける売上の割合

テキーラの最大消費国である米国においては、圧倒的にブランコの売上が多くなっており、ついでレポサド、アネホとなります。日本とはだいぶ異なる構成比となっております。

総量BLANCOJOVENREPOSADOAÑEJOEXTRA AÑEJO
2021年輸入量194,099,687120,097,1811,041,93953,194,64618,306,9581,458,963
2021年構成比100%62%1%27%9%1%
単位:リットル/CRTの統計サイトより

クラス別おすすめの銘柄

以下では、筆者がおすすめのテキーラをクラス別に紹介してまいります。

ブランコ・プラタ・シルバーのおすすめ

エラドゥーラ・プラタ

味のバランスが良く、45日だけ熟成するという珍しい製法のエラドゥーラ。値段もやすいので、普段遣いでも飲めるおすすめ銘柄です。(おおよその値段:2,500円)

グランオレンダイン・ブランコ

テキーラ御三家とも称されるオレンダインの上級ライン。ソーダ割りでもストレートでも楽しめるおすすめ銘柄。(おおよその値段:5,000円)

ドンナチョ・ブランコ

テキーラ農家が自ら作るブランド。パワフルな味わいを考えると大変お買い得な銘柄です。(おおよその値段:3,500円)

Calle23・ブランコ

現在、品薄が続いているCalle23。テキーラ道場の主催前田氏が惚れ込んで、日本への輸入を実現したブランド。(おおよその値段:4,000円)

楽天などで購入できない場合は以下も見てみてください。

輸入元のサトー酒店

フォルタレサ・スチルストレングス

サウザ家の5代目が独自で作ったブランド。特に人気の高い加水なしのスチルストレングスは大変おすすめです。(おおよその値段:10,000円)
 ※24年10月現在欠品中

ホーベン・オロ・ゴールドのおすすめ

カサノブレ・ホーベン

100%アガベでブランコにレポサド以上をブレンドした銘柄は日本で買える銘柄は少ないです。(カラメルなどで着色したものは当然多く手に入る)数少ない銘柄だとカサノブレのホーベンが挙げられます。(おおよその値段:1万円)

レポサドのおすすめ

オルメカ アルトス・レポサド

世界的なバーテンダーと共同で作り上げたオルメカのアルトスという100%アガベライン。コスパ良いおすすめ銘柄です。(おおよその値段:3,000円)

カスカウィン・レポサド

日本人初のテキーラ職人の影田氏が働くカスカウィン。世界的にも評価が高く、レポサドが個人的に好き。(おおよその値段:6,000円)

オチョ・レポサド

畑ごとに作ったテキーラをボトリングするオチョというブランド。畑ごとの味わいの変化を感じられるのも楽しみ。(おおよその値段:4,000円)

アネホのおすすめ

カサノブレ・アネホ

珍しいフレンチオークの樽を使っているが、アネホに関してはバージンバレル(一度も使っていないもの)を使用。(おおよその値段:2022年3月現在欠品中の様子)

ドンフリオ1942

ドンフリオ氏が蒸留所を作った1942年にちなんだ上級ライン。ドンフリオの中でもテキーラ好きに人気の銘柄。(おおよその値段:14,000円)

グランオレンダイン・アネホ

アネホの中でも長期熟成の2年半熟成したグランオレンダイン。熟成もしっかりと感じられて、値段は2年半とは思えない5千円台。(おおよその値段:5,500円)

エクストラアネホのおすすめ

クエルボ・レゼルヴァ・デ・ラ・ファミリア

最低3年以上、最長30年のテキーラもブレンド。熟成感を感じたいのであれば、こちらがおすすめ。(おおよその値段:15,000円)

クリスタリーノのおすすめ

オレンダイン オリータス クリスタリーノ

レポサドを活性炭で脱色したオレンダイン オリータス。値段も比較的安いため、まずクリスタリーノを試してみたいという方におすすめの銘柄。

編集後記

テキーラのクラスのことが本記事でご理解いただけたかと思います。本サイトではテキーラの製法なども詳しく解説しておりますので、興味のある方はぜひご覧になって見ください。

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著者情報

  • 著者名:テキーラダディ
  • 本業:非アルコールの食品系業界のマーケティング部門
  • 資格:日本テキーラ協会認定テキーラマエストロ(100期代)
  • テキーラ関連の経歴:2009年に北海道にあるバーで本格的なテキーラに出会い目覚める。2023年にはハリスコ州内の蒸留所見学を果たす。テキーラ以外にもスコットランドのアイラ島など各地の蒸留所、国内のウィスキー蒸留所、シャンパーニュ、ボルドー、ブルゴーニュ、国内の酒蔵、ブリュワリー、ワイナリーなど全世界のアルコール製造現場を巡る。

Twitterはおすすめ銘柄などを発信

筆者のインスタでは蒸留所の美しい風景などをアップしています。ぜひフォローしてください!

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