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テキーラのクリスタリーノ(Cristalino)とはなにか

クリスタリーノテキーラ テキーラ基礎知識

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テキーラの作り方をおさらい

ざっくり言うと、クリスタリーノとは熟成したテキーラの色素を抜いて、透明なテキーラを意味します。
では順を追って、テキーラの作り方からおさらいしていきましょう。

熟成前のテキーラができるまで

テキーラとはアガベという植物を原料に作る蒸留酒です。まず始めのステップとしてはアガベを栽培。最低でも5年程度はアガベを育て、葉を落とし、収穫。

アガベ
葉が落とされて収穫されたアガベ

収穫されたアガベは加熱され、甘く柔らかくなったアガベは絞って甘いジュースを抽出。このジュースを酵母が食べてアルコールが出来上がるのです。

搾汁され、酵母がアルコールを作っている途中の状態

アルコールが出来上がったらまだアルコール度数が低いので、蒸留します。蒸留所にもよりますが、2回ほどの蒸留を経て、テキーラが出来上がりです。ブランコやシルバーと呼ばれるテキーラはこの状態で出荷されます。

テキーラの熟成

ブランコのテキーラを熟成させていきます。蒸留所にもよりますが、アメリカンホワイトオークという木の樽がよく使われます。焦がすとバニラっぽい香りがして、甘さをより感じるようになるのです。他にもブランデーで使われるフレンチオークの樽を使うケースもあります。

2ヶ月以上、1年未満のものをレポサド、1年以上のものをアネホ、3年以上のものをエクストラアネホという名前になります。この基準はCRT(テキーラ規制委員会)にて定め、管理されております。

テキーラのクリスタリーノ(Cristalino)とは

ここまでで熟成されたテキーラが出来上がりました。ここから色を抜いて、クリスタリーノになっていきます。

主に活性炭で色を抜くのがクリスタリーノ(Cristalino)

クリスタリーノは2種類の作り方があります。
一つは熟成されたテキーラを更に蒸留していく方法です。ただ蒸留をすることで、無駄になるテキーラが多く出るため、あまり使われていない手法です。

もう一つの一般的な手法は、活性炭の粉末を使って熟成の色素を抜くのです。活性炭は穴がたくさん空いているので、そこに色素が沈着し、色が抜けるのです。その後、活性炭をフィルターを通すことで濾過し、飲めるようになります。

引用:siptequilaより

多くのクリスタリーノはその後に香料などを入れる

クリスタリーノは活性炭で色を抜くと同時に香りや味わいも落ちてしまいます。そのため香りを補完するために香料を入れる銘柄が大半です。結果として通常のアネホよりも甘く感じるケースも多いのではないでしょうか。(家の脱臭剤で炭が使われることを考えると、以下に香り成分も吸着してしまうかがわかるのではないでしょうか)

クリスタリーノの歴史と現状

クリスタリーノの歴史は比較的新しく、一番初めに表舞台に登場したのはドンフリオの70周年発売銘柄として出たドンフリオ70という銘柄です。これはアネホを透明にしたということで、世界中のテキーラ好きから注目を浴びました。

この銘柄が飲みやすく、大ヒットしたことでフォロワーがまたたく間に現れ、今では大手テキーラ蒸留所の多くがクリスタリーノを発売しています。CRT(テキーラ規制委員会)はテキーラのクラス(ブランコ・アネホなど)を決めているのですが、2023年現在クリスタリーノは正式なクラスにはなっていないですが、公式文書でその存在を容認し、名称をクリスタリーノとしております。(それまではクリアアネホなど様々な呼称がブランドごとにあった)

クリスタリーノの功と罪

クリスタリーノの作り方をお伝えしてきました。アメリカとメキシコではクリスタリーノは大変人気が高く、一つの流行を生んでいると言っても過言ではないです。その一方で、こだわっていると呼ばれる銘柄を作っている蒸留所の方々は、絶対にクリスタリーノを作らないという声もあるのも事実です。その功罪を改めてお伝えしていきたいと思います。

クリスタリーノの功

クリスタリーノのテキーラ業界にもたらした功は間違いなく、テキーラの裾野を広げたことでしょう。テキーラやアルコールに慣れないエントリー層は活性炭によって取り除かれた苦手な要素を避けることができ、香料によって甘くなったテキーラを好みます。

筆者の友人で、テキーラが苦手な方もこれなら飲めると言って、ドンフリオのクリスタリーノの写真を送ってきてくれたことがあります。間違いなくテキーラの売上を上げることに寄与したと言えるでしょう。

クリスタリーノの罪

同時に前述の通りこだわり派の蒸留所やテキーラマニアからは、嫌煙されているのも事実です。その理由はいくつかあると感じますが、「もはやそれはテキーラなのか」と感じているんだと思います。

テキーラとは「アガベ」「酵母」「水」と「職人の技」で出来上がるもの考える人からすると、活性炭によって色だけではなく味まで抜いてしまい、香料で味をつけるクリスタリーノはもはやテキーラではないと感じているようです。
筆者も確かにクリスタリーノにすることで、飲みやすくなっているのは事実だと感じます。ですが、アガベ農家やテキーラ職人が苦労して作ったテキーラの良い部分も悪い部分も取り去ってしまうのは、もはやテキーラではないというのも一つの真実であると思います。

ちなみに無香料(Additive-free)のテキーラマッチメーカーから認証を受けているクリスタリーノのブランドも一部ではあります。有名なブランドだと、VolcanとEl Tequilenoがそれに当たりますが、それぞれ同期間熟成のクラスと比べると、当然クリスタリーノのほうがパネリスト評価の点数が低くなっております。そこまでしてクリスタリーノを本当に売る必要があるのかと感じます。それならテキーラ苦手な人向けに香料をジャブジャブ使っているテキーラのほうがまだ潔いとも思えてきます。

日本におけるクリスタリーノ

今までも日本でクリスタリーノはLunazulなどで発売されてきましたが、日本のTOP3銘柄になった1800が2022年にクリスタリーノを発売しております。1800のような大型銘柄が広告費を投じてプロモーションすることで、テキーラ後進国の日本においてクリスタリーノが広がることはテキーラの裾野を広げることにはなるかもしれない。そう思うと同時に、本来のテキーラの味に誤解を生むのではないかと危惧しております。(以下は発売時の広告。六本木駅に広告を出すあたりが流石ですね)

世界での評価

テキーラマッチメーカーと呼ばれるテキーラ口コミサイトがテキーラマニア必須のサイトとなっております。このサイトにおいては「80点を超えたらそこそこの銘柄だよね。」という評価が一般的です。このサイト内にクリスタリーノは110銘柄ほど登録されておりますが、そのうち80点以上になっているのはなんと8銘柄しかありません。割合にして8%程度です。
一方、ブランコだと1597銘柄登録されているうち、435銘柄が80点を超えており27%程度となっております。双方ともパネリストと呼ばれる多くの銘柄を評価してきた人々のスコアで、パネリストはブランコ好きも多い傾向にあると感じるので、多少フェアじゃない比較かもしれませんが、事実テキーラマニアからは厳しい評価をくだされているのは事実でしょう。

クリスタリーノで検索してこのサイトに行き着いた方へ

最後までお読みいただきありがとうございます。もしテキーラに興味を持っていただいたのであれば、クリスタリーノも良いですが、元となるテキーラでも本当に職人が汗水垂らして作るテキーラは、クリスタリーノに共通する良さもありつつ、更に素敵な良さも同時に感じることができると思います。是非以下のオススメ銘柄からお好きな一本を探していただけると、きっとより豊かな時間を過ごすことができると思います。

おすすめ銘柄
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編集後記

ここまでクリスタリーノについて辛口なことを書いてきましたが、世界で売れているのも事実です。ただこの記事を読んでいただき、飲まずして、批判することだけは避けてください。ぜひ、一度飲んでみて、それでもだめだと思ったら、その評価をご自身でもっていただければ良いのではないかとおもいます。以下には比較的買いやすい値段のオレンダイン・オリータスと高級目な1800のリンクを貼っておきますので、ぜひ飲んで見てください。

テキーラについてもっと興味を持った場合は是非以下の記事を読んでみてください。

筆者渾身のテキーラ解説動画

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テキーラの基礎知識

テキーラの一歩進んだ知識

著者情報

  • 著者名:テキーラダディ
  • 本業:非アルコールの食品系業界のマーケティング部門
  • 資格:日本テキーラ協会認定テキーラマエストロ(100期代)
  • テキーラ関連の経歴:2009年に北海道にあるバーで本格的なテキーラに出会い目覚める。2023年にはハリスコ州内の蒸留所見学を果たす。テキーラ以外にもスコットランドのアイラ島など各地の蒸留所、国内のウィスキー蒸留所、シャンパーニュ、ボルドー、ブルゴーニュ、国内の酒蔵、ブリュワリー、ワイナリーなど全世界のアルコール製造現場を巡る。

Twitterはおすすめ銘柄などを発信

筆者のインスタでは蒸留所の美しい風景などをアップしています。ぜひフォローしてください!

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