こんにちは、本記事ではテキーラとはどのようなお酒なのかと、併せておすすめの銘柄もご紹介します。
テキーラとは何か?
テキーラとは「ブルー アガベ」という植物を原料にメキシコで作られる蒸留酒です。
原産地呼称と呼ばれるルールで保護されており、地域ならびに製法が定められており、決められたルールに従わないとテキーラとは呼べません。
(CRTサイト内「テキーラに関する一般宣言」)
テキーラの名前の由来
テキーラという名前は、当時メスカルと呼ばれていたメキシコの蒸留酒の中でも、特に美味しいものを作ると言われていたのがテキーラ村でした。テキーラ村の地酒ということで、テキーラという呼称を付けることで、他のメスカルとは区別し、テキーラという呼称が浸透していきます。
有名テキーラ製造会社のクエルボとサウザはテキーラ村の中心にあります。
テキーラの原料はサボテンではなく、アガベ
テキーラの原料はアガベ(アガヴェ)という多肉植物です。
アガベの中でもアガベ アスル(英:ブルーアガベ/正式名称:Agave Tequilana Weber Variedad Azul)という品種を使うことが義務付けられております。
※本サイトでは基本的にはアガベと記載します。
そのアガベをテキーラでは51%以上、使用しなければなりません。
よくメキシコのお酒というイメージからか、サボテンを原料としていると誤解されがちですが、サボテンとアガベは縁遠い植物です。
テキーラの製造方法
テキーラの製造方法は、以下のような流れとなります。
文字にすると大変簡単に見えますが、アガベの栽培だけでも一般的に最低5年はかかる大変手がかかるお酒です。
- 収穫:アガベの葉を落として、茎だけにしてピニャという状態にする
- 収穫:アガベの葉を落として、中心部のピニャを収穫
- 糖化:ピニャを加熱して糖化
- 圧搾:加熱されたピニャから糖分を抽出
- 発酵:圧搾されたジュースを、発酵させ低濃度アルコールにする
- 蒸留:低濃度のアルコールを2回以上蒸留しテキーラとなる
- 熟成:ブランコ以外の銘柄は樽で熟成
1.栽培:原料となるアガベを栽培熟成
2.収穫:アガベの葉を落として、茎だけにしてピニャという状態にする
3.糖化:ピニャを圧力釜に入れて、加熱して糖化
4.圧搾:テキーラの糖分を抽出
5.発酵:発酵させアルコールにする
6.蒸留:低濃度のアルコールを2回以上蒸留しテキーラとなる
テキーラの生産エリア
テキーラは作れる地域が決まっている
次に作っている場所はメキシコのハリスコ州を中心としたエリアです。
(ハリスコ州以外だと4州で原料、3州で製造が行われております)
これはテキーラと名乗るために原産地呼称制度に定められており、逸脱した場合はテキーラと名乗れなくなります。
(シャンパーニュ地方で特定のぶどう品種で作られたお酒しか、シャンパンと呼べないのと一緒です。)
ちなみにハリスコ州の中でもロスアルトスとバジェス地方が有名エリアです。
メキシコのアガベで作る他のお酒、メスカル等
他のエリアで作ったもの、以下の要件を満たさないものは、アガヴェスピリッツか他の原産地呼称の蒸留酒(メスカル、バカノラ、コミテコ、ライシージャなど)となります。
メスカルとは、以前はメキシコで作るアガベで作った蒸留酒全体を指していました。
現在は、テキーラ同様に原産地呼称を定めたため、生産可能な州が決まっています。
メスカルの製法など詳細
テキーラの度数
テキーラのアルコール度数はルール上では35−55度の範囲で作る必要があります。
その中でも38度か40度以下の銘柄が日本に輸入されている銘柄では多く、ウィスキーやラムとあまり変わらない度数です。銘柄によっては下限の35度のものもあります。
一般的に蒸留酒の中でも強いイメージのテキーラですが、そんな事はありません。
ちなみに38度はメキシコ国内向けに製造されることが多く、40度はアメリカ等海外向けに製造されたものが多いです。
テキーラと名乗るために必要な要件
テキーラとなるためには条件があります。
上記記載のものも含め、テキーラとなるための必要な要件は以下です。
- 原料の糖分としては51%以上をアガベアスル使用
- ハリスコ州を含む5州で原料栽培・製造
- アルコール度数を35−55度の範囲にする
- メタノールは3ml/l以下にする必要あり
- 水以外の物質を添加する場合は1%以下にする
- 上記を遵守の上、CRTという機関に認められる必要がある
詳細はテキーラの分類を参照
テキーラの分類
テキーラは主に原料による分類、熟成による分類の2種類があります。
テキーラの原料によるカテゴリー分け
テキーラの主な原料はアガベであると前述しました。法令上もアガベの使用量は51%以上使用しなければなりません。アガベを51%以上使いつつ、他の糖分も使用したものがミクストテキーラ(正式にはTequilaとのみ表記)
アガベだけを使用したテキーラがアガベ100%・テキーラ(通称プレミアムテキーラ)です。
100%Agave Tequila | Tequila | |
原料 | アガベアスールを100%使用 | アガベアスール51%以上、49%まで他の糖分を使用可能(発酵前に添加) |
記載方法 | “100% de agave,” “100% puro de agave,” “100% agave,” or “100% puro agave,” Tequila | Tequila |
俗称 | プレミアムテキーラ | ミクストテキーラ |
ボトリング | CRTに認められた蒸留所のみ | 海外も含め、蒸留所以外の認定されたボトリング業者も可能 |
備考 | 記載時にAzulないしBlueをAgave につけることは可能 | 他の糖分はアガベを使用してはならない |
当サイトでは味わいと風味が一般的に良いとされるアガベ100%・テキーラを中心にご紹介いたします。
テキーラの熟成によるクラス分け
また主に樽での熟成度合いで、以下のように分類されます。
クラス名 | 熟成期間 | 樽容量 |
ブランコ(Blanco)/プラタ(Plata)/シルバー(Silver) | 2ヶ月未満 | ー |
ホーベン(Joven)/オロ(Oro)/ゴールド(Gold) | ブランコにレポサド以上をブレンド、もしくはブランコに着色したもの | ー |
レポサド(Reposado) | 2ヶ月以上 | 特になし |
アネホ(Añejo) | 1年以上 | 600リットル以下 |
エクストラアネホ(Extra Añejo) | 3年以上 | 600リットル以下 |
熟成されればされるほど、一般的に値段は高くなります。
ホーベン(Joven)/オロ(Oro)/ゴールド(Gold)については、多くが着色したもので、日本に入ってくるものはGoldの表記が多いです。カラメル色素だけではなく、焦がした木を入れて香りと色をタイプもあります。
テキーラの歴史
ではテキーラはどのようにしてできたのでしょうか?
古代アステカ時代から、アガベの花茎を使ったプルケというお酒はありました。
ただこれは醸造酒(ワインや日本酒と一緒)であって、蒸留されたものではありません。
アメリカ大陸は15世紀以降にヨーロッパ人が侵略を行います。
その中で、スペイン人はプルケも作るアガベに目をつけ、すでにヨーロッパには技術的に確立されていた蒸留技術を使って蒸留したのです。これがテキーラのもととなったものと言われております。
その後、日本でも有名なクエルボがスペイン王室より蒸留所の許可をもらい、1795年に創業して徐々に商業的な生産が進んでいきます。禁酒法時代のアメリカ人がメキシコに来てテキーラを味わったり、マルガリータやテキーラサンライズのブームなどもあり徐々にテキーラは世界中で浸透していきます。
また、サウザなどの蒸留所が努力し、テキーラは1974年に原産地呼称を確立していきました。アメリカでは1990年代くらいから100%アガベ・テキーラのブームがあり、現代に至ります。
テキーラの消費地
上記のようにメキシコはハリスコ州で作られたお酒ですが、現在のメキシコ国外で最大のテキーラ消費地はアメリカになっています。
メキシコオリンピック以降、テキーラがアメリカに根付き始め、マルガリータやテキーラサンライズなどのカクテルが流行し、その原料として知られていきます。
その後、テキーラの中でも、原材料であるアガベを100%使用したプレミアムテキーラというジャンルが確立されたことで、ゆっくりと楽しむ美味しさがアメリカ人に認められ、爆発的に売上を伸ばしていくのです。
味わうことよりも、ショットでClubで飲むイメージが中心の日本とは大分位置付けが違いますよね。
アメリカン・セレブのテキーラブランド
近年ではテキーラが好きで趣味が高じて、製造にまで乗り出したセレブもおり、ジョージ・クルーニーが友人と作ったカサミゴスなんかが有名です。
他にもカルロス・サンタナのカサノブレ、AD/DCのサンダーストラック、ジャスティン・ティンバーレイクの(サウザ)901などが有名かつ日本でも手に入ります。
※2022年3月現在ではカサミゴスと901は輸入状況から手に入りづらいです
最近では電気自動車のテスラも2020年に発売して即完売していたりします。
私はセレブが作ったブランドの中では、カサノブレが特に好きです。
テキーラの初心者向けオススメ銘柄3選
エスポロン レポサド
筆者が今一番飲んでいるテキーラです。
テキーラ製造に50年以上関わるチリロ・オロペーザ氏が蒸留所責任者を務める銘柄。
他のテキーラでは見られない製造方法を取っており、初心者から上級者まで飲みやすいオススメ銘柄です。
(エスポロン レポサドの詳細情報、レビュー)
エラドゥーラ・プラタ
自家農園で長い時間をかけて育てたアガベを使用し、上品な味わいだがお値段は2千円台。(2023年現在、為替影響で値上がりしています)
新入社員の比較的お金ないときはこれが自分の定番銘柄でした!
(エラドゥーラ プラタの詳細情報、レビュー)
サウザ・ブルー
よくショットで飲まれるサウザ・シルバーが有名ですが、実はブルーとつくタイプはアガヴェ100%です。
気軽にソーダ割りでごくごく飲めるお値段と、しっかりとした味わいでおすすめです!
Calle23 ブランコ
フランス人のソフィーさんが作る丁寧な作り方をしているブランド。熟成期間に合わせて使用する酵母を変化させるという珍しい作り方をしている。
甘さが心地よく、香りの複雑さも魅力。
カスカウィン ブランコ
日本人初のテキーラ職人である影田氏が携わるカスカウィン。歴史ある蒸留所で、セメント製の発酵槽使用しており、独特な香りと甘さが魅力。
もっとテキーラを知りたい方には
テキーラの概略、いかがでしたでしょうか。
もっとテキーラに興味が湧いた方には以下のリンクから更に面白いテキーラの世界を体験してください。
筆者渾身のテキーラ解説動画
筆者のおすすめテキーラ
テキーラの基礎知識
テキーラの一歩進んだ知識
著者情報
- 著者名:テキーラダディ
- 本業:非アルコールの食品系業界のマーケティング部門
- 資格:日本テキーラ協会認定テキーラマエストロ(100期代)
- テキーラ関連の経歴:2009年に北海道にあるバーで本格的なテキーラに出会い目覚める。2023年にはハリスコ州内の蒸留所見学を果たす。テキーラ以外にもスコットランドのアイラ島など各地の蒸留所、国内のウィスキー蒸留所、シャンパーニュ、ボルドー、ブルゴーニュ、国内の酒蔵、ブリュワリー、ワイナリーなど全世界のアルコール製造現場を巡る。
Twitterはおすすめ銘柄などを発信
筆者のインスタでは蒸留所の美しい風景などをアップしています。ぜひフォローしてください!
コメント