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Calle23(カジェ ヴェインティ トレス)のブランドを解説&レビュー

カジェ23 ★★★★

本サイトはテキーラの魅力を発信するため、未成年者の閲覧を禁止いたします。

今回は2021年5月から輸入がスタートしたCalle23シリーズをご紹介&味わいのレビューをさせていただきます。

Calle23の成り立ち、由来

作り手はフランス生まれの女性

Calle23の造り手(ブランドオーナーかつ蒸留責任者)はソフィー・デコベック(Sophie Decobecq)さんです。
彼女はパリ近郊のコンピエーニュ工科大学で生物工学において博士号まで取得されたそうです。その後、メキシコで発酵に関して学んだそうです。その後、南アフリカでアガベスピリッツづくりに携わりました。

ソフィー・デコベック
THE WISKEY EXCHANGEより

メキシコでテキーラや造り手に惚れ込んでいた彼女は、その後2003年にメキシコに移住しテキーラづくりを開始されたそうです。
そして移住してから6年、念願かなって2009年にClalle23をリリース。
(彼女のインタビューはTHE WISKEY EXCHAGEの造り手インタビューを御覧ください)

Calle23の名前の由来

ハリスコ州というテキーラの主な生産地の州都はグアダラハラという街になります。
グアダラハラの旧市街ヌエベ・エスキナというところで、ソフィーさんが友人とランチ中にビリエリアというレストランの壁をみたらCalle23という昔の道路標識を見つけ、それをブランドの名前にしたそうです。
Calleはストリート(通り)と言う意味だそうです。

Calle23サイン
amathusdrinksより

ストリートビューで私が確認したものだと、おそらくこちらです。
ただ他の資料と比べると壁の色が変わっているので、塗り替えたのか違う物件かは未確認です。違っていたらごめんなさい。。。
※著作権上、指し示せないのですが、3本柱があるうちの右の柱の1階上部の部分です。

日本への輸入はテキーラ道場の前田氏の熱意

ソフィーさんとの出会い

日本に輸入し始めたのはテキーラ道場という会を定期的に千葉で開かれている前田氏です。
前田氏がメキシコに行くに当たり、親交のあった故ロメオ・フリストフ氏(アメリカのテキーラ専用グラスのプロデューサー)に、メキシコ訪問時にどこを訪れればよいか聞いたらソフィーさんをおすすめされたそうです。

結果として都合により現地でソフィーさんには会えなかったのですが、そこで飲んだCalle23に感動した前田氏は日本に帰って自身の道場やSNSでCalle23を勧めまくった結果、ソフィーさんから自身のテキーラを日本に輸入しないかと言われ輸入することとなったそうです。
ただ酒販などは素人の前田氏だったので、テキーラ道場を始めた当初から色々と相談していたサトー酒店の佐藤氏が輸入元・販売に関しては引き受けてもらえることになり、現在日本で発売が開始できたそうです。
テキーラ道場さんのTwitter
サトー酒店のCalle23特集ページ

Calle23の作り方へのこだわり

ロスアルトス地方の厳選した農家のアガベ

テキーラの主要産地、ハリスコ州には主にバジェス地方とロスアルトス地方があります。
Calle23はロスアルトス地方のアガベ(テキーラの原料)のみを使用しております。
バジェス地方のアガベに比べると、ロスアルトス地方のアガベのほうが糖度が高く、濃厚な甘さになります。

C23. Campo agave #5
amathusdrinksより

低圧のアウトクラベ

アガベは発酵をするまえに、加熱して糖化させる必要があります。
一般的には、マンポステラ(石釜/煉瓦釜)で40時間程度加熱する方法とアウトクラベ(圧力釜)で高圧状態で8時間程度で加熱する方法があります。

サトー酒店より

マンポステラのほうが、香ばしい甘さになると言われ、テキーラ通からはマンポステラのほうが好まれます。アウトクラベのほうが短時間でできる分、スッキリとした甘さになるため、マニアから好まれる銘柄ではあまり使用されておりません。
ただマンポステラでも、圧力を低めにして、時間を長く(高圧よりも2倍ほど)温めるとマンポステラのような香ばしい味わいが得られます。またマンポステラに比べアウトクラベのほうが安定した調理が可能になるというメリットが有り、Calle23ではアウトクラベを使用しております。
アガベの加熱は詳しくはこちら

アガベの葉から採取した酵母を組み合わせ

テキーラの発酵には様々な酵母を使用してアルコールを発生させます。
蒸留所によっては、ワインで使用されている酵母を使用したりしますが、Calle23ではアガベに付着している天然の酵母を培養して使用します。

アガベの葉についた酵母を使うこと自体は、他の蒸留所でも使用しておりますが、酵母に関して特に珍しいのは、銘柄(テキーラの最終的な熟成期間)によって使う酵母の組み合わせが違うということです。
多くのブランドでは酵母はグレードですべて同じものを使いますが、Calle23ではレポサド(8ヶ月熟成)の銘柄と、それ以外の銘柄で使用している酵母が違います
ブランコとアネホはAとCという酵母を使用しており、レポサドはAとBという酵母を使用しているそうです。
ブランコでAとBという酵母を使用したテキーラが最適だとわかったあとに、同じ酵母を使用したテキーラを熟成をしてみたらレポサドでは、AとBの組み合わせよりも別の組み合わせが良いとなりAとCを使用しているそうです。また、アネホ(18ヶ月熟成)はブランコと同じAとBが最適であると分かり現在の組み合わせにしているそうです。
生物工学で博士号まで取得したソフィさんならではのこだわり、と言えるかと思います。

銅製コイル

テキーラでは、一般的には銅製の蒸留器がマニアからの人気が高いです。これは硫黄酸化物が吸着するためと言われております。
一方、銅製の蒸留器だと多少銅の成分がテキーラに流れてしまうため、ケアする必要が出てきます。
そこでCalle23では銅製コイルを使用したステンレスタンクが、ちょうどよくなるということで、この組み合わせになっております。

添加物不使用

テキーラは規定上、1%までは添加物を使用することが認められております。香料やカラメル色素などを使用することで、蒸留・熟成後の見た目や味わいを安定させるために、多くのテキーラブランドでは添加物を使用していると言われております。
添加物を使用することは、愛好家に一定の味わいのテキーラを安定して提供するためには、必要なメーカーも多くあるかと思います。

そのようなブランドが多い中、Calle23ではアガベの味わいをそのまま届けるために、添加物を使用しておりません。Calle23のアガベの味わいを添加物を使用せずに提供するというこだわりは、個人的には好感が持てます。

蒸留所は持たないが、自分でイチから作る蒸留家

昨今、テスラモーターズやケンダル・ジェンナーといった有名人が、作っているテキーラが話題です。そのような有名人ブランドは自社で蒸留所を持たず、蒸留所に委託して作っております。セレブたちは忙しいので、テキーラの製造にすべて関わるということはしておりません。

Calle23も蒸留所を自社で持たないブランドです。ただ有名人たちが委託して製造しているのとは違い、自らが蒸留所の設備を借りて作るイメージです。そのため蒸留所を複数回変更しているようです。なので、蒸留所ごとに与えられるNOMという4桁の番号が確認しただけでも3個目になっております。

味の特徴

ブランコ

Calle23のブランコの製法の特徴としては前述以外にはステンレスタンクで6ヶ月熟成です。
ブランコは2ヶ月未満の樽熟成が定義ですが、ステンレスタンクで寝かせることでアルコール感の安定が得られます。
ステンレスタンクで寝かせることはあっても比較的6ヶ月寝かせるのは長めです。

まず香りを感じてみるとしっかりと加熱されたアガベ、バニラ、オレンジ様の柑橘、青い草っぽさを感じます。
飲んでみると濃厚な甘さ、辛さを感じます。
アフターノートはグレープフルーツっぽさとハーバル感を感じて大変濃密な味わいです。

ソーダ割りやカクテル(パロマなど)も良いですが、ストレートで味わいの深さを感じてください。
ソーダをチェイサーにストレートがおすすめです。

おすすめ度:★★★★+

ソーダをチェイサーにストレートで飲む

レポサド

前述の通り、ブランコ・アネホとは違う酵母を使用しています。
またアネホも同じですが、熟成はバーボンで使用された中古樽を使用しております。中古樽で寝かせることで、樽香が強くなりすぎず、テキーラらしい味わいを十分に感じられます。
熟成期間は8ヶ月となっております。

香りはしっかりと加熱されたアガベ、キャラメル、はちみつです。結構、Calle23のなかでも、香りは個人的に好きなのがレポサドです。
味わいは濃厚な甘さ、心地よい辛さが感じられます。後味はナッツのような感覚も感じます。

飲み方はストレートが圧倒的におすすめです。香りを存分に感じてください!
ソーダ割りが良ければ、氷と炭酸を通常よりも少なめで割ってみると良いかもしれません。

おすすめ度:★★★★

アネホ

ブランコと同じ酵母で作られたテキーラを中古バーボン樽で16ヶ月熟成しています。

香りをまず感じると樽感とアガベの甘さ、キャラメル感、胡椒様のスパイシーさ、バナナのような濃厚な甘さを感じます。
飲んでみると濃厚な甘さを感じつつ、辛さも感じます。後味はコーヒーのような感覚が花から抜けるように感じます。

おすすめ度:★★★★

クリオージョ

2017年に1回のみ生産した限定品で、メーカーではメキシコに在庫はすでになくなっているとのことでしたので、日本では今の在庫が最後なのかと思います。大変貴重な一本となっております。

作り方の特色としては、原料のアガベにあります。クリオージョ(Criollo)と呼ばれる小さい状態で熟したアガベのみを使用しております。通常、同じ生育年数でも、アガベは大きくなったほうが濃厚で良いとされがちですが、クリオージョは長い生育年数でも小さくて熟したものです。
通常は他の大きなアガベに混ぜて使用されるようですが、このクリオージョのみを使用したのがCalle23のクリオージョです。
酵母は通常のブランコやアネホと同じ酵母を使用し、テキーラが作られます。蒸留後にステンレスタンクで2年間寝かせており、特に長く休ませています

まず香りを取ってみると、通常のブランコとは香りからして異なります。アガベ感をしっかりと感じつつ、土っぽさ、野菜っぽさ、ハーブ、花などを感じます。イメージとしては、ごぼうや人参、蓮根などをじっくりと煮た土のパワフルさを感じつつ、華やかさもあるといった、謎な表現が個人的にはぴったしです。
飲んでみると、甘さの種類が通常のブランコとは明らかに異なります。辛さはブランコよりもあとから来るかと思います。

飲み方は間違いなくストレートが良いです。通常ラインよりも度数も高い(49.3度)ので、気になるようであれば、加水するか氷を小さいのを一個だけ浮かべて飲んでください。

おすすめ度:★★★★++(世界的には在庫がほぼなく、いま日本で買えることが奇跡。。。)

ボトル、可愛いですよね。

定性情報

NOM:1545/1433(クリオージョのみ1433)
蒸留所:Hacienda Capellania, S.A. de C.V./Tequila Quiote, S.A. de C.V.
エリア
 蒸留所:ハリスコ州ロスアルトス地方
 アガベ産地:ハリスコ州ロスアルトス地方
加熱方法:アウトクラベ(低圧)
搾汁方法:ローラーミル
加水:地下水
発酵槽:ステンレス発酵槽
蒸留回数:2回
蒸留器:銅製コイルのステンレス蒸留器
熟成樽:バーボン中古樽
熟成期間:レポサド8ヶ月/アネホ16ヶ月
度数:40/49.3度(クリオージョのみ49.3度)
相場:ブランコ4千円、レポサド5千円、アネホ6千円、クリオージョ11千円(記載時の大体の値段)
(上記はTequila match makerと製造元HPを参考にして作成)

編集後記

買いたい場合は、、、

いかがでしたでしょうか。
世界的にも評価の高いCalle23が輸入元の前田氏の情熱で日本でも気軽に買えるようになったことは、2021年日本のテキーラ業界でも特に大きなトピックだったかと思います。
ぜひそのようなCalle23を飲みたくなってみたという方は、ぜひ以下からご購入して見ください。

輸入元のサトー酒店
https://liquor-sato.com/cart/products/list?category_id=42

※クリオージョだけ楽天で買えるようになっておりました。在庫少ないようなのでぜひお急ぎお買い求めください!

テキーラをもっと知りたくなかった方用リンク集

テキーラ自体をもっと知って、楽しく飲みたいという方は、以下リンクをご参考にしてください。。

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著者情報

  • 著者名:テキーラダディ
  • 本業:非アルコールの食品系業界のマーケティング部門
  • 資格:日本テキーラ協会認定テキーラマエストロ(100期代)
  • テキーラ関連の経歴:2009年に北海道にあるバーで本格的なテキーラに出会い目覚める。2023年にはハリスコ州内の蒸留所見学を果たす。テキーラ以外にもスコットランドのアイラ島など各地の蒸留所、国内のウィスキー蒸留所、シャンパーニュ、ボルドー、ブルゴーニュ、国内の酒蔵、ブリュワリー、ワイナリーなど全世界のアルコール製造現場を巡る。

Twitterはおすすめ銘柄などを発信

筆者のインスタでは蒸留所の美しい風景などをアップしています。ぜひフォローしてください!

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