本日はテキーラでも大別されるプレミアムテキーラ(100%アガベ)とミクストテキーラの違いをご紹介してまいります。
プレミアムテキーラとミクストテキーラとは
テキーラと聞くと、ショットやカクテル、ショットガンで飲むと思う方々が多いと思いますが、実はテキーラはショットばかりで飲むものではありません。
テキーラといえばショット?
アメリカではウィスキーやワインと同じように、味わって飲むお酒という認識が強いです。
事実、アメリカでテキーラの人気が高くなりすぎて、原料のアガベがメキシコでは数十倍に上がると言った現象まで起きているほどです。
プレミアムテキーラとは?
実はテキーラには大きく種類が2つに分けられます。
一つがよくショットで飲まれるミクストテキーラ。
もう一つがゆっくりと味わって飲まれることが多いプレミアムテキーラ(アガベ100%テキーラ)です。
先程、お伝えしたアメリカで人気が出ているのは圧倒的にプレミアムテキーラです。
以前はミクストテキーラのほうがアメリカでも人気だったのですが、ここ数年はプレミアムテキーラのほうが輸入量がミクストテキーラよりも上回っております。
ではプレミアムテキーラは何かというと、一般的に「原料としてアガベという植物を100%使用したテキーラ」がプレミアムテキーラです。
(アガベについて詳しく知りたい方はこちら)
プレミアムテキーラとミクストテキーラは法律で決められている
テキーラの定義
テキーラと名乗るためにはそもそも原料のアガベ(アガベアスル/ブルーアガベ)を51%以上使う必要があります。
なぜかというとテキーラには原産地呼称(シャンパーニュなどと同様)の枠組みに入っており、生産地・製法以外に原料についても規定があります。
プレミアムテキーラ(100%アガベ)の定義
ではプレミアムテキーラと呼ばれる100%アガベ(100% de Agave Tequila)と名乗るためには、蒸留前の原料としてアガベを100%使い、水以外の添加物は1%以下にする必要があります。
(メキシコの法令ならびに協定がある各国の法令上/添加物についてはテキーラも同様)
ミクストテキーラの定義
ミクストテキーラになるためには、上記のプレミアムテキーラよりも当然ゆるく、蒸留前の糖類として51%以上を使っていれば問題ありません。
またアガベは上記の通り、だいぶ高額な原料となっているため、廃糖蜜(モラセス)をテキーラの原料として使う蒸留所が大半です。
日本酒で米だけを使ったものを純米酒と定義して、値段的にも良い値段がつけられるのと同様ですね。
ミクストは悪酔いするし、あまり飲みたくないというプレミアムテキーラ好きは私の周りでも多い印象です。
日本テキーラ協会の会長である林氏も、100%アガベのテキーラは経験上悪酔いしないという趣旨の発言をしており、ミクストで悪酔いしたから苦手になったという方も、一度100%アガベのプレミアムテキーラを試す価値はあると思います。
(テキーラの定義詳細はこちら)
実はミクストテキーラというのは法律上ない
今までミクストテキーラと言っていたのに、ミクストテキーラはないってどういうこと?と思われる方も多いかと思いますが、実はミクストテキーラというものはありません。
ミクストテキーラはテキーラと呼ばれる
一般的にミクストと呼ばれるのは、スペイン語で「混合」の意味です。
つまり、原料をアガベだけではなく、廃糖蜜を混ぜたお酒という意味です。
メキシコではほぼ消費されず、ほぼ外国に輸出されております。
もともと100%アガベテキーラが当たり前であったメキシコでは、ミクストの存在を前提としていなかったのです。
一方、テキーラが世界に広まり、ミクストが当たり前になってきた後、味わうためのテキーラとして100%をあえて際立たさせるために「100%アガベ」というジャンルをテキーラ規制委員会(CRT)でも定義づけをしました。
100%アガベの対比として、一般的にはミクストと呼ばれるのですが、さすがにCRTも「ミクスト」と呼ぶのは忍びなかったのか、ただ「Tequila」と呼ばせるようにしたそうです。
そのため、CRTの統計資料では「Tequila 100% de agave」「Tequila」という2種類に別れております。
(日本酒でも純米酒でないものは醸造酒と呼ばれるのと同様)
なぜミクストは悪酔いするのか
ではショットでよく飲むミクスト・テキーラは前述の通り、悪酔いすると言われるのかというと、明確な研究はないですが、以下が言われることが多いです。
ミクストテキーラの原料のモラセスの劣化
実はミクストテキーラに用いられるモラセスと呼ばれる廃糖蜜は、ラムなどの主原料となっているものでもあります。
ラムで主原料を悪いものを使うことは少ないと思われます。
一方、テキーラでモラセスはあくまでも副原料のため、数年前の製糖で余ったモラセスを平気で使うことが以前は多かったらしく、酸化がだいぶ進んでしまっているものも多くあったそうです。
それに比べてプレミアムテキーラは、原料のアガベが酸化しないように、収穫後当日中には加工する蒸留所が大半で、このような理由もあり、悪酔いの原因になりづらいと言われるかと思います。
せっかく飲むならプレミアムテキーラ
ミクストに比べて、プレミアムテキーラ(100%アガベ)のほうが良いことはわかったけど、では何を飲めばよいのかと思われる方も多いかと思います。
以下は、初心者でも飲みやすいテキーラをご紹介します。
飲みやすさ重視
飲みやすさを重視するなら、テキーラを作っているハリスコ州の中でも、ロスアルトスというエリアがおすすめです。
特にコスパ・味わいでオススメの以下2銘柄をご紹介します。
【カスコヴィエホ】
高級ブランドの多いロスアルトスでもコスパ重視のブランド。
ハイボールを普段飲まれる方なら、ソーダ割りで一度は飲むべき。
【パトロンシルバー】
アメリカで大人気のプレミアムテキーラ。
安定した製造工程の中でも、一部伝統的な製法を用いるこだわりが感じられる逸品。
いかがでしたでしょうか。
テキーラの知識をもっと知りたいという方は以下のリンクもご参考にしてください。
筆者渾身のテキーラ解説動画
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テキーラの基礎知識
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著者情報
- 著者名:テキーラダディ
- 本業:非アルコールの食品系業界のマーケティング部門
- 資格:日本テキーラ協会認定テキーラマエストロ(100期代)
- テキーラ関連の経歴:2009年に北海道にあるバーで本格的なテキーラに出会い目覚める。2023年にはハリスコ州内の蒸留所見学を果たす。テキーラ以外にもスコットランドのアイラ島など各地の蒸留所、国内のウィスキー蒸留所、シャンパーニュ、ボルドー、ブルゴーニュ、国内の酒蔵、ブリュワリー、ワイナリーなど全世界のアルコール製造現場を巡る。
Twitterはおすすめ銘柄などを発信
筆者のインスタでは蒸留所の美しい風景などをアップしています。ぜひフォローしてください!
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