El Tesoro(エル テソロ)やTapatio(タパティオ)、Ocho(オチョ)というテキーラのブランドをご存知でしょうか。どちらもテキーラ愛好家から大変人気の高いブランドとなっておりますが、すべて同じ造り手によるものです。
今回はその中でもTapatioをご紹介させていただきます。
大人気の造り手が作るTapatio(タパティオ)
タパティオのカルロス・カマレナとは
Tapatioを作るマスターディスティラー(責任者)はCarlos Camarena(カルロス・カマレナ)氏です。
現在、彼が作るテキーラはテキーラ好きから愛される銘柄ばかり。有名ブランドだとEl Tesoro 、Ocho、Tapatioが挙げれられますが、3ブランドともテキーラのレビューサイトで100点満点で80点未満がないという素晴らしい結果です(Tequila Matchmakerのパネリスト評価/2022年7月現在)
カルロスさんの人となりが分かる記事をご紹介です。英語のみですが、翻訳サービスにかけてぜひご覧ください。大変好感の持てる記事です。
カマレナ一族のテキーラ造り
大ヒットメーカーのカルロス・カマレナ氏ですが、テキーラづくりの名門家の方です。カマレナ家のテキーラ造りの歴史は古く1800年代後半から、初代のFelipe Camarena(フェリペ・カマレナ)氏がアガベ作り、テキーラ造りに従事していたようです。その後メキシコ革命で当初使用していた蒸留所が壊されてしまったことで、現在Tapatioを作るLa Altena蒸留所が1936年から創業します。その後息子・娘が引き継ぎ、そして初代から数えると三代目のカルロス・カマレナ氏がテキーラづくりをしております。
カルロス以外のカマレナ家で現在テキーラづくりをしている方だと、G4を造っているDestileria El Pandillo(NOM1579)のIngeniero Felipe Camarena氏が有名です。また彼の息子のAlan Camarena氏もテキーラ造りをしており、Alanさんが4代目でGenerations4=4世代という意味でG4にしているそうです。G4は2022年末より日本でも販売を開始しております。よろしければ以下記事をご覧ください。
Tapatio(タパティオ)とは
Tapatioの位置づけ
Tapatioは端的に言うと、El Tesoroのメキシコ国内向け・お買い求めやすくしたバージョンです。Tapatioは1940年より発売していました。その後、アメリカで100%テキーラがブームになり始めた1990年にEl Tesoroは発売されております。そのためTapatioはメキシコ国内市場を意識した銘柄、El Tesoroは海外マーケットを意識した製品となっており、値段もTapatioのほうが安価になっております。
El TesoroはアメリカのOldtowntequilaというサイトで47ドルくらいの価格設定になっております。それに比べTapatioは35ドルくらいとお求めやすい価格になっております。
またEl Tesoroは製造はカルロス・カマレナ氏の蒸留所で製造していますが、ブランドオーナーが現在はサントリーの子会社のBeam Suntory社となります。
El Tesoroは日本国内では流通していないブランドです。以前は流通していたようで、今でも70周年記念のエクストラアネホは一部流通しています。ただぜひ通常ラインが入ってきてほしいのが、全テキーラ愛好家の祈願です。
(ぜひ、サントリーさんには日本を代表するブランドオーナーとして頑張っていただきたい!!)
ラインナップ
タパティオの正規流通品
タパティオは日本では以下の4銘柄が蝦夷麦酒という輸入会社が輸入しています。
銘柄名 | 分類 | 熟成 | 度数 | 値段 ※概算 | 備考 |
タパティオ ブランコ | 100% Agave Tequila | ブランコ | 38 | ¥5,500 | |
タパティオ レポサド | 100% Agave Tequila | レポサド(4ヶ月以上) | 38 | ¥5,800 | バーボン樽 |
タパティオ アネホ | 100% Agave Tequila | アネホ(18ヶ月以上) | 38 | ¥6,100 | バーボン樽 |
タパティオ エクセレンシア | 100% Agave Tequila | エクストラアネホ(4年) | 40 | ¥12,800 | フレンチ・アメリカオーク樽両方使用 |
タパティオの並行輸入品
日本国内には正規輸入以外は入ってきておりません。海外だとTapatioでも110(110Proof=55度)という種類があります。今後、正規輸入か並行輸入で入ってくると面白いですね。
Tapatio(タパティオ)の作り方
タパティオはテキーラの中では、比較的ベーシックな作り方をするブランドとなります。ただどの工程も、しっかりと作り込んでいるのだろうと思われる味わいです。
まずアガベは6−8年程度生育したものを使用。カットする際の皮は中程度の残し方をしております。
その後、コゴージョと呼ばれる芯を取り除き、マンポステラ(レンガ製の釜)でゆっくりと加熱されます。搾汁は70%はローラーミル、30%はタオナを使用します。
その後、木樽で72−96時間かけて自然発酵させます。その際にタパティオも30%はタオナを使用するので、タオナのしぼりかす(バガス)も袋に入れて一緒に発酵します。タパティオはエル・テソロに比べると安価ですが、手のかかる木桶かつバガスというのは矜持を感じます。
2回の蒸留を経て完成となりますが、一回目は鉄製、二回目は銅製の蒸留器を使用します。
レポサド・アネホはバーボン中古樽、エクストラアネホはアメリカンホワイトオークの新樽を使用するようです。
また添加物(法令上1%未満で許される)は不使用のアガベ、水、酵母だけを使用する銘柄です。添加物に関する記事は以下をご覧ください。
Tapatioの味の特徴・おすすめの飲み方
ブランコ
香り:胡椒とアガベらしい甘さがしっかりと感じます。甘い系のスパイスも感じます。
味わい:飲んでみるとしっかりとした甘さに辛さもしっかりと感じます。苦さは強くないです。
アフターノート:優しい花の香り、草・ベジー感。特に後味が長く続いて心地よい後味です。
おすすめ度:☆☆☆☆
レポサド
香り:アガベの甘さ、キャラメル、バターっぽさを感じます。
(ブランコに比べスパイシーな香り(胡椒)が落ち着いている気がします)
味わい:甘さはしっかり、辛さも残っています。
アフターノート:甘さ、なんとなくバナナとかの濃厚な感覚が続きます。
おすすめ度:☆☆☆☆+
※2023年8月現在在庫なし
アネホ
香り:アガベの甘い香り、シナモン、バターの香りで大変心地よい
味わい:甘さが強く感じるため、レポサドまでよりも辛さが感じづらい気がする。苦さが若干。
アフターノート:チョコやカラメルといったビターな香りが抜けます。
おすすめ度:☆☆☆☆
エクストラアネホ
今回、対象外(買い忘れです。。。そのうち書きます。)
おすすめの飲み方
個人的なおすすめは、どの銘柄もストレートが良いです。ソーダ割りは悪くないのですが、飲む前に想像していたほどではなかったので、どうせ飲むならストレートでいかがでしょうか。
ストレート:すべての銘柄
ソーダ割り:ブランコ、レポサド
ロック:レポサド、アネホ
カクテル:ブランコ
番外編(カルロス・カマレナ氏飲み比べ)
カルロス・カマレナ氏が作っているタパティオ、エル・テソロ、オチョ、エクセリア(Excellia)、ビジャロボス(Villa Lobos)の5銘柄をブラインドでテキーラ道場さんでテイスティングしてきました。
ぶっちゃけ5銘柄中1銘柄しか正解しなかったので、偉そうなことは言えないのですが、タパティオとエル・テソロだと味わいの複雑性が違う印象でした。エルテソロのほうが味の要素が多い、タパティオのほうがわかりやすい味わい。ただどちらもパワフルな美味しさは一緒。どちらが良いかというと、好みの問題だとは思います。
そしてエクセリア(Excellia)をこのとき初めて飲んだのですが、ソーテルヌ(貴腐ワイン産地)とコニャックの樽を使用しているとのことで、大変華やかでこれだけ当てることができました。全銘柄個人的には日本輸入してくれると嬉しい。。。
定性情報
NOM:1139
蒸留所:Tequila Tapatio, S.A. de C.V. (La Alteña)
エリア
蒸留所:ハリスコ州ロスアルトス地方(アランダス)
アガベ産地:ハリスコ州ロスアルトス地方
加熱方法:マンポステラ(レンガ製の釜)
搾汁方法:ローラーミル(一部タオナ?)
加水:地下水
発酵槽:木製発酵槽
蒸留回数:2回
蒸留器:鉄製/銅製単式蒸留機
熟成樽:レポサド/アネホ_バーボン中古樽、エクストラアネホ_アメリカンホワイトオークの新樽
熟成期間:レポサド_4〜6ヶ月、アネホ_18ヶ月、エクストラアネホ_4年
度数:ブランコ/レポサド/アネホ_38度、エクストラアネホ_40度
(上記はTequila match makerと製造元HPなどを参考にして作成)
編集後記
買いたい場合は、、、
いかがでしたでしょうか。
飲みたくなってみたという方は、ぜひ以下からご購入して見ください。
ブランコ
レポサド
アネホ
テキーラをもっと知りたくなかった方用リンク集
テキーラ自体をもっと知って、楽しく飲みたいという方は、以下リンクをご参考にしてください。。
筆者渾身のテキーラ解説動画
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テキーラの基礎知識
テキーラの一歩進んだ知識
著者情報
- 著者名:テキーラダディ
- 本業:非アルコールの食品系業界のマーケティング部門
- 資格:日本テキーラ協会認定テキーラマエストロ(100期代)
- テキーラ関連の経歴:2009年に北海道にあるバーで本格的なテキーラに出会い目覚める。2023年にはハリスコ州内の蒸留所見学を果たす。テキーラ以外にもスコットランドのアイラ島など各地の蒸留所、国内のウィスキー蒸留所、シャンパーニュ、ボルドー、ブルゴーニュ、国内の酒蔵、ブリュワリー、ワイナリーなど全世界のアルコール製造現場を巡る。
Twitterはおすすめ銘柄などを発信
筆者のインスタでは蒸留所の美しい風景などをアップしています。ぜひフォローしてください!
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