本日はテキーラ好きに大人気なドンフリオをご説明させていただきます。
意外と知られていない名前の由来や、ブランドのこだわり、各銘柄のおすすめの飲み方などをご説明させていただきます。
ドン フリオ(Don Julio)が発売される経緯
ドン フリオの名前の由来
ドン・フリオの意味は、ドン(Don)が男性につく敬称、フリオ(Julio)は個人名。
日本語で言えば「フリオさん」「フリオおじさん」といったところですかね。
ブランド名の由来はフリオ・ゴンザレス(Don Julio González-Frausto Estrada)という方がこのブランドを作ったことから来ております。
ドン フリオ発売のきっかけ
そんなフリオさんですが、なんと17歳という若さで地元の裕福な男性から融資を受けて、La Primavera蒸留所(春という意味)を1942年に創業します。元々はミクスト・テキーラのトレス マゲイヤスというブランドで作っていました。
トレスマゲイヤスは以前は日本でも購入できましたが、現在はアメリカなどでも購入できないようなので、製造は終了しているようです。
そんなフリオさんは家族のためだけに最高品質のテキーラを作っていたそうですが、それを友人を呼んだパーティで振る舞ったそうです。飲んだゲストの方が大変美味しかったことから、このテキーラはどこで買えるのかと聞かれたことから、一般発売に至ったそうです。
その後、丁寧な作り方をするプレミアムテキーラと呼ばれるジャンルを、パトロンとともに作り上げ、今やテキーラを代表するメーカーとなっております。
世界で大人気のブランド、ドン フリオ
日本ではテキーラといえばサウザやクエルボが特に有名、売れています。
テキーラの知名度としては、ドン フリオは日本では上記2ブランドと比べるとだいぶ低いですが、世界的には大人気のブランドです。
実際にDrink Internationalというサイトが世界の受賞歴などがあるバー約100店における調査では、該当のお店で一番売れたテキーラブランドとしてドン・フリオが1位になっております。しかも7年連続という快挙が2022年発表のレポートでは報告されました。
日本のバーでテキーラが置いてある銘柄を筆者の体感で順位付けすると、、、
クエルボエスペシャル→1800→サウザ→カミノレアル→ポルフィディオ*→パトロン→オルメカ→ドンフリオ→アガバレス
*ポルフィディオはテキーラでは無いですが、テキーラと認識されていることが多いため参考として記載
ドン フリオのこだわりの作り方
プレミアムテキーラと言われるだけあり、大変丁寧な作り方をしております。
ここではドンフリオの作り方のこだわりをご説明いたします。
アガベの生育年数・栽培地
Home-grown. Hand-crafted. pic.twitter.com/wmqAjHVMGZ
— Don Julio Tequila (@donjulio) June 10, 2014
原料のアガベの生育年数は7-10年以上とこだわっております。現在、米国のテキーラブームでアガベが高騰したため、アガベは最短で7年よりも若く収穫されることが多くなっており、ドンフリオは時間をかけて栽培していると言えます。
(一時期は10年以上と記載されていたとホームページ等に記憶しておりますが、アガベ高騰で若干若いものも使っているようです)
またアガベは通常1m間隔で植えられますが、ドン・フリオではアガベとアガベの間隔を更にあけることで、栄養をしっかり取っていると言われております。
またアガベの栽培はロスアルトス地方で栽培されているます。ロスアルトス地方はテキーラの主要産地のハリスコ州の中でも高地にあり、土地も肥沃で、ジューシーなアガベが栽培されるとされています。
(ロスアルトス地方について)
ドン・フリオの加工方法
ドン・フリオでは原料のアガベの収穫の後、コゴージョと呼ばれるアガベの芯となる部分は、蒸留した際にメタノールや苦味が出るため、取り除かれているそうです。
その後、テキーラを作るためには原料を加熱する必要があるのですが、アウトクラベと呼ばれる圧力釜での加熱ではなく、伝統的なマンポステラと呼ばれるレンガ釜で加熱をします。
(下のドンフリオのTwitter画像がマンポステラに詰められている様子)
アウトクラベと比して時間がかかる加熱方法で3日ほど加熱し続ける必要があります。
マンポステラのほうが、香ばしい香りになり、テキーラ好きには好まれる傾向にあります。
Hand-picked piñas, ripe for roasting. pic.twitter.com/i6MhhVrdLv
— Don Julio Tequila (@donjulio) March 12, 2014
樽熟成について
ドンフリオでは通常ラインは中古のバーボン樽で熟成されます。
その結果、程よい樽香が感じつつ、原料のアガベのニュアンスを感じられます。
レポサドで8ヶ月、アネホで18ヶ月、1942で30ヶ月は熟成されますが、それぞれの銘柄で色はそこまで濃くないです。
こだわりのボトル
せっかく、みんなでお酒を飲むのに、顔が見えないと良くないというこだわりから、
背の低いボトルとなっております。
オーセンティックなメキシコの雰囲気を醸しており、大変かっこいいと思います。
(若干注ぎづらさは感じますが。。。)
先進的なドン フリオ
ロスアルトスの中では比較的老舗のドンフリオですが、実は先進的な取り組みも多く行っています。
日本では未発売品ですが、創業70周年記念として、AñejoClaroというものを発売しております。
1年以上熟成させたアネホを炭で色を抜いたもので、透明なアネホとなります。
ドンフリオがこの銘柄を発売後、各社が同様のレポサド・アネホを発売し、テキーラ業界のムーブメントとなりました。現在では、CRT(テキーラ規制委員会)もクリスタリーノというジャンルを通常のクラスとは別でジャンルとして認めるまでになっております。
また最近、徐々にワイン業界で流行ってきているオレンジワイン(エノテカの解説ページ)の樽を使用したプリマヴェーラというラインを作るなど、最新のアルコール業界の流行も意識した製造をしております。
ドンフリオのラインナップ
ドンフリオは現在ディアジオという世界的な酒造メーカー(ディアジオ社ドンフリオ紹介ページ)がオーナーであり、日本においては2021年よりディアジオジャパンが輸入しております。
ここではディアジオジャパンが正規で輸入しているラインナップを中心にご紹介してまいります。
銘柄名 | 分類 | 熟成 | 度数 | 値段 | 備考 |
ドン フリオ ブランコ | 100% Agave Tequila | ブランコ | 38 | ¥4,000 | |
ドン フリオ レポサド | 100% Agave Tequila | レポサド(8ヶ月) | 38 | ¥5,000 | |
ドン フリオ アネホ | 100% Agave Tequila | アネホ(18ヶ月) | 38 | ¥8,000 | |
ドン フリオ 1942 | 100% Agave Tequila | アネホ(2年半) | 38 | ¥14,000 | |
ドン フリオ レアル | 100% Agave Tequila | エクストラアネホ | 38 | ¥50,000 | |
ドン フリオ 70周年 クレロ アネホ | 100% Agave Tequila | アネホ(クリスタリーノ・18ヶ月) | 38 | ¥15,000 | 並行輸入のみ |
ドン フリオ(Don julio)の味わいをご紹介
日本で発売されている通常ライン(ブランコ・レポサド・アネホ)と1942のそれぞれの味わいをご紹介してまいります。
※レアルという銘柄も日本で発売しておりますが、製造をやめたという情報があり、今後日本でも販売が止まる可能性もあるかと思い、一旦レビューを控えます。(参考:spiritedzineより)
ドン フリオ ブランコ
香り:加熱されたアガベの香りに、南国のフルーツ感(パパイヤなど)を感じる。シトラスなどのニュアンスを感じつつ、ワックスのような感覚も若干覚える(個人的には最近ちょっと苦手なニュアンス)
味わい:しっかりとした甘さ、あとから辛さが出てきて、苦味は弱い
アフターノート:野菜っぽさやシトラス感を感じます。
大変パワフルな甘さと香りも甘い感覚が強いです。
おすすめの飲み方:ロック、ソーダ割り、カクテル(柑橘系の甘さのマルガリータやトミーズマルガリータ、パロマなど)
ストレートでも十分楽しめますが、パワフルな甘さがあるので、個性を活かしつつ楽しめる上記の飲み方をおすすめ
おすすめ度:☆☆☆☆ー
送料込で4千円以下で購入できるブランコの中では、パワフルな甘さ・南国感を楽しめる銘柄。値段を考えると比較的おすすめの銘柄の一つです。
ドン フリオ レポサド
香り:加熱されたアガベ、バニラがしっかりとある。シトラスにバターやシナモンなどを感じつつ、うっすらはちみつなど
味わい:柔らかいけどしっかりと主張する甘さ、多少の辛味、苦さはブランコよりも若干感じる
アフターノート:アガベとバニラ感が最後まで感じつつ、シトラスが当初より強く感じる
ドン フリオの中でも、レポサドが一番初めに発売されており、ある意味一番完成されたバランスの良い味わいと個人的に思います。ある意味バランスの取れた味わいに思います。
おすすめの飲み方:ストレート、ロック、ソーダ割り
真っ直ぐな飲み方でぜひ味わっていただきたい一本です。ストレートか少なめのソーダで割るなどが良いかと思っております。
おすすめ度:☆☆☆☆
バランスが良く、洗練された甘さを感じられる一本です。4千円代で買えるのであれば、大変おすすめです。ただ、販売元がキリンからディアジオジャパンに代わり、レポサドの値段が若干上がっている印象で、これ以上は上がらないでほしいなとは思っております。
ドン フリオ アネホ
香り:加熱されたアガベ、洋梨や青りんごにシトラス系のフルーツ、キャラメルや樽感などを感じます
味わい:柔らかいけどしっかりと主張する甘さ、多少の辛味、樽のタンニンっぽさを若干感じます。
アフターノート:アガベとはちみつ、オークを感じつつ、胡椒系のスパイシーさが鼻に抜けます。
ドン フリオの中でも、ブランコとレポサドは多少違うキャラクターを感じますが、アネホはレポサドの延長にあると感じます。
おすすめの飲み方:ストレート、ロック
ストレートかロックがおすすめです。ソーダ割りにすると樽感が変に口に残ると感じる人もいるかと思います。
おすすめ度:☆☆☆+
バランスが良く、洗練された甘さを感じられる一本です。ただ正直レポサドよりプラス3千円くらいの値段差を考えると、レポサドをおすすめしてしまいます。
ドン フリオ 1942
香り:加熱されたアガベに濃厚なキャラメルや高級チョコレートをしっかりと感じます。さらにバター、濃厚な花(ユリのよう)を感じます。
味わい:優しい甘さがゆっくりと口の中に広がります。
アフターノート:品の良いバニラの香りが長く続きます。
ドン フリオの中でも、テキーラ好きからも特に評価が高いとされる1942だけあって、大変完成された味わいです。
おすすめの飲み方:ストレート
個人的にはストレート一択ですが、ストレートがきついという方は小さめの氷を一個だけ入れて飲んでみてください。
おすすめ度:☆☆☆☆
正直、箱やボトルが特殊な形状もあり、上記の評価にするには若干の割高感は感じますが、味自体も大変完成された美味しい味わいで、特殊な形状の箱とボトルもデザインが優れているため、この評価としております。
ドン フリオ定性情報
NOM:1449
蒸留所:Diageo México Operaciones, S.A. De C.V.
エリア
蒸留所:ハリスコ州ロスアルトス地方
アガベ産地:ハリスコ州ロスアルトス地方
加熱方法:マンポステラ
搾汁方法:ローラーミル
加水:地下水
発酵槽:ステンレス製発酵槽
蒸留回数:2回
蒸留器:銅製コイル使用したステンレス製単式蒸留器
熟成樽:バーボンの中古樽
熟成期間:レポサド:8ヶ月・アネホ:1年半・1942:2年半
度数:38度
相場:ブランコ:4,000円、レポサド5,000円、アネホ8,000円、1942:14,000円(記載時の大体の値段)
(上記はTequila match makerと製造元HPを参考にして作成)
編集後記
いかがでしたでしょうか。
ドンフリオを代表とする100%アガベテキーラのことがもっと知りたくなったという方は、ぜひ以下の記事でテキーラのことをもっとご覧になって見ください。
テキーラを飲むことがもっと豊かに、楽しくなると思います。
筆者渾身のテキーラ解説動画
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著者情報
- 著者名:テキーラダディ
- 本業:非アルコールの食品系業界のマーケティング部門
- 資格:日本テキーラ協会認定テキーラマエストロ(100期代)
- テキーラ関連の経歴:2009年に北海道にあるバーで本格的なテキーラに出会い目覚める。2023年にはハリスコ州内の蒸留所見学を果たす。テキーラ以外にもスコットランドのアイラ島など各地の蒸留所、国内のウィスキー蒸留所、シャンパーニュ、ボルドー、ブルゴーニュ、国内の酒蔵、ブリュワリー、ワイナリーなど全世界のアルコール製造現場を巡る。
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