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ミクストテキーラは”缶コーヒー”、添加物入りは”フラペチーノ”だと思っている

コラム

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今回の記事は、私がテキーラの分類について思っていることをまとめる。この記事を執筆する直前に、Xでフォローいただいている方から、”ミクストテキーラは飲まない人だと思っていました”と言われたので、私がどのように考えているかを記したい。

テキーラの分類は主に3つと考える(原料・熟成・添加有無)

テキーラのNOM(テキーラの製造ルール/正式名称NOM-006-SCFI-2012)が定める分類は主に2つである。そのNOMが定めるテキーラの分類以外に、テキーラ愛好家の中で重要視される分類が”添加物を入れているテキーラかそうでないか”だと考えている。

NOMが定める分類

一つは原料によって分類されるカテゴリーというもの。カテゴリーは原料の違いを定めており、主原料Agave Azul(アガヴェ)を100%使用する100% Agave de Tequila。もう一つは51%以上アガベを使用するが、残りは別の糖分(糖蜜など)を使用するミクスト(正式名称Tequila)である。当然主原料の割合で味わいは変わるため、テキーラ好きは一般的には100%アガベを好むケースが多い(ミクストながら美味しいものもある)。

もう一つは熟成度合いによって分類されるクラスというものがある。クラスは熟成度合いの違いで変化し、オーク樽で2ヶ月未満の熟成がブランコ、2ヶ月以上がレポサド、1年以上がアネホ、3年以上がエクストラアネホ、レポサドとブランコを混ぜるか添加物を入れたものをホーベン(海外ではゴールド)といった具合である。樽香がつくことで樽の甘い香りがテキーラに移る。樽の種類にも寄るが、新しく焦がしたアメリカンホワイトオークだとバニラのような香りがする。

添加物による分類

またNOMではブランコテキーラ以外は、添加物をいれることを許されており、一般的には1%までいれることができる。添加物は主にグリセリン、糖分、カラメル色素、オークエキスになります。添加物は1%というと少なそうに見えますが、色も味も大きな影響を与えることができます。そのため、添加物の有無は愛好家からすると重要な要素となります。

ミクストと添加物が使われる背景

ミクストが作られる理由は2つあり、”製造コスト低減”と”Agaveの使用量削減”です。まずアガベは栽培に5年程度かかる作物で、大変時間がかかります。そのためテキーラの需要が増加している時期には、原料のアガベの増産が間に合わなくなったりします。それに対応するために、もともとはアガヴェしか使用していなかったテキーラにおいてAgaveを100%使用しなくても良いミクストが誕生しました。その他にも、アガヴェは前述の通り時間がかかる、収穫が大変なため、糖蜜などに比べてコストが高いです。大手メーカーを中心に、コスト低減のためにミクストが作られたという歴史的な背景もあります。

【ミクストテキーラの代表格:クエルボエスペシャル】

次に添加物はテキーラの味を一定に保つためにいれることが認められております。テキーラは農作物から作られる、環境(温度などで発酵や蒸留の状況も違う)によって味にブレが生じます。また樽による着色や香りのつき方も異なります。これを標準化するために添加物があります。ただ現在は標準化する以上に、元に無い香りをつけたりと、過剰なまでの味付けがされているケースがあります。(以下は添加物ゴリゴリなテキーラの代名詞である818)

ミクストテキーラは”缶コーヒー”、添加物入りは”フラペチーノ”だと思っている

ここからは、テキーラに詳しくない人に、私がよく使う例えをご紹介します。ミクストは”缶コーヒー”、添加物がゴリゴリ入っているテキーラは”エスプレッソフラペチーノ”で、添加物を多少使って味を整えているテキーラは”ブレンドコーヒー”、無添加テキーラは”単一産地で作った豆を使用したスペシャリティコーヒー”と伝えています。

ミクストテキーラは缶コーヒー

ミクストテキーラは低価格、原材料の安定供給のために、アガヴェ以外の原料を使っています。また大手メーカーのものは飲みやすくするために添加物を入れていると言われております。これはコーヒーで考えると”缶コーヒー”のように、消費者にとってコスト・手間を考えたときにお手軽で、飲みやすくしたものと近しいのかなと考えています。コーヒーにも実は原料が主に2つあり、一般的にハンドドリップで使われる香りが良いアラビカ種と、安くて香り的には劣ることが多いロブスタ種です。缶コーヒーはアラビカ種にロブスタ種をブレンドしたものが多く、クリームと砂糖を入れて甘くしており、まさにやすい原材料を混ぜ、添加物で甘くしたミクストテキーラはインスタントコーヒーのようなものだと思います。
(ロブスタ種でも品種改良により、質が高く生産性も良いものも一部では出てきているそうなので、念の為ロブスタ種≠全部品質低いというわけじゃないことは断っておきます)

添加物ゴリゴリなテキーラはフラペチーノ

添加物が大量に入って、異様なバニラや綿飴のような香りがするテキーラは、コーヒーは使用しているもの甘さを極めて、冷たく提供さえるエスプレッソフラペチーノのようなものだと思います。添加物ゴリゴリ入っているテキーラは、アメリカではテキーラをロックで飲む文化も強いことから、冷やしても香り・味が立つような味わいです。またテキーラに馴染みがない層にもエントリーしやすい味わいになっています。そのことからも、シアトル系のコーヒーチェーンが冷たくて甘いアイスクリームのようなフラペチーノでシェアを広げたように、テキーラでも添加物ゴリゴリのテキーラはフラペチーノって言っても過言ではないのでしょうか。

添加物で味を整えたテキーラはブレンドコーヒー

テキーラでも比較的昔ながらの老舗ブランドは添加物をそこそこ使い、ロットごとの味のブレや色のブレを抑えています。ブレンドコーヒーも単一品種だけだとバランスが悪いような豆を混ぜることで、味のバランスを取るためにいくつかの豆を混ぜています。ただ元のコーヒーらしい味わいはフラペチーノと違って、残っていることから、まさにブレンドコーヒーと言ってよいのではないでしょうか。

無添加テキーラは単一スペシャリティコーヒー

無添加テキーラは添加物を入れない分、原料のアガヴェの味わい・職人の腕前によるテキーラの製造技術をフルに感じることができます。逆に味が劣っているものは、すぐにバレてしまうのも無添加テキーラのデメリットです。またロットによるブレもあり、時々の味の違いを感じることができます。

これは豆の生産者・テロワールによる違い、保管状況、焙煎や入れての腕前によって味わいが異なる、単一品種のスペシャリティコーヒーに近しいのではないでしょうか。

どれが正義ということはない、どれが好きか、どれが飲みたいかしか無い

ここまで書くと、無添加テキーラが最も尊くて、素晴らしく、無添加テキーラ以外は飲むなと言っているようにも見えるかもしれません。ただそのようなことはなく、最終的には自分が飲みたいものを飲めばよいのではないかと思っています。

例えば、初心者がコーヒーでも初めから繊細なスペシャリティコーヒーを美味しいと思えないから、初めはエスプレッソフラペチーノを美味しく感じ、コーヒーの味わいになれると思います。同様に、テキーラでも初めから繊細な無添加テキーラを飲んで、好きになれるとは限りません。それよりはわかりやすい添加物ゴリゴリのテキーラを飲んで、そこからより繊細なテキーラの味に慣れ親しんだほうが良いと思います。

また食事中には素材本来の甘さが感じられる無添加テキーラのほうが良いかもしれませんが、食後酒としては添加物ゴリゴリのほうがデザート感覚で飲めるかもしれません。また価格的に4千円以上はする無添加テキーラより、2千円台のミクストテキーラや添加物を適度に使ったテキーラのほうが普段から気軽に飲むことができるということもあります。

それぞれに良さがあると思いますし、どちらが正解ということはないと思います。ちなみに私は普段、主に飲むのは無添加テキーラ、かつブランコが一番飲むということだけは断っておきます。

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著者情報

  • 著者名:テキーラダディ
  • 本業:非アルコールの食品系業界のマーケティング部門
  • 資格:日本テキーラ協会認定テキーラマエストロ(100期代)
  • テキーラ関連の経歴:2009年に北海道にあるバーで本格的なテキーラに出会い目覚める。2023年にはハリスコ州内の蒸留所見学を果たす。テキーラ以外にもスコットランドのアイラ島など各地の蒸留所、国内のウィスキー蒸留所、シャンパーニュ、ボルドー、ブルゴーニュ、国内の酒蔵、ブリュワリー、ワイナリーなど全世界のアルコール製造現場を巡る。

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