日本人テキレロ(テキーラ職人)の景田氏が働くことでも有名ながら、味わいの評価も大変高いカスカウィン(Cascahuin)のブランドをご紹介してまいります。
本記事はインポーターの株式会社フィディアの津田氏に仲介いただき、2022年に景田氏にインタビューさせていただき記事にしております。また2022年時点の情報で構成しているため、製法が今後変化する可能性はあるむね、ご承知おきください。
景田氏が働くカスカウィン蒸留所(Cascahuin)で働く経緯
2018年に日本人初のテキレロとしてクレイジージャーニーにて紹介されたことで、一躍有名になった景田氏。そんな景田氏がカスカウィン蒸留所で働く経緯をご紹介いたします。
メキシコに渡る前
現在はテキレロとして働いている景田氏ですが、もともと日本ではバーテンダーとして働いていました。バーテンダーとして働かれていて、テキーラに興味を持っていなかったときは、テキーラは「塩とライムで一気飲みするもの」といった認識だったそうです。
ただテキーラ専門のバーで働き始め、テキーラに対して知れば知るほど奥深さを感じ、テキーラの世界にのめり込んでいったそうです。そのような中、メキシコに研修旅行があり、テキーラ蒸留所をまわる機会を得たのです。その中で短時間ながら様々な蒸留所を巡った中で、またこの地に渡りたいと思ったのです。
縁があってカスカウィンで働き始めた
いくつかのテキーラバーで合計で数年間に渡り勤務し、メキシコでテキーラに関わりたいと思っていた思いが強くなった結果、2014年に景田さんはメキシコに渡ります。唯一知り合いがいたメキシコシティに渡った後、更に日本人を紹介してもらいハリスコ州の中心都市であるグアダラハラに移り住みます。
グアダラハラに移ってから3ヶ月程度立ったときに、たまたま声をかけられたイギリス人から、メキシコ人以外が集う懇親会に誘われます。その懇親会を通じて知り合えたのがカスカウィン蒸留所の生産マネージャーであったサルバドール氏だったそうです。
初めはグアダラハラからカスカウィン蒸留所があるエル・アルナルまでバスで通って、無給でテキーラ製造の手伝いをさせてもらっていたそうです。その後観光ビザが切れるタイミングで、2015年に労働可能なビザに切り替えを行い、そのタイミングから正式に働かせてもらうようになったのです。
カスカウィン蒸留所とは
カスカウィン蒸留所のスタート
カスカウィン蒸留所の歴史は古いです。初代のSalvador Briseño氏(サルバードル・ブリセーニョ氏)の叔母さんに当たる方がエル・アルナルのテキーラ蒸留所を営まれている方と1904年に結婚。叔母さん自身もその蒸留所を手伝われ始めたそうです。
ブリセーニョ氏は叔母さんの仕事を手伝うことからはじめ、1955年にカスカウィン蒸留所を設立したのです。
カスカウィンという名前はSalvadorさんが引き継いでから命名したとのことで、スペイン人侵略以前の言葉で”光の丘(Cerro de Luz)”とか”丘の上の祝祭(Fiesta en el Cerro)”といった意味になります。
海外への輸出は最近のこと
実はカスカウィンというブランドが正式に*海外へ輸出し始めたのは比較的最近のことで、なんと2015年に日本へ輸出したのが初だったのです。圧倒的な輸入量があるアメリカへ初めに輸出するブランドが多い中、もともと家族経営でメキシコのみで販売してきたカスカウィンは海外に輸出してこなかったのです。そんななか、景田氏が入社したことからカスカウィンを輸入したいと声をかけてくれる輸入社が現れ、2015年末に日本を初の輸出国としてカスカウィンの流通が実現します。
*フランスで個人の方がレポサドだけ以前に輸入していた時代があったそうですが、すべてのラインナップを輸入し始めたのは日本が初とのことです
カスカウィン(Cascahuin)のラインナップ
2022年末時点で日本で発売された銘柄は以下のとおりです。(終売含む)
銘柄名 | クラス | 度数 | 値段 | 備考 |
カスカウィン ブランコ | ブランコ | 38 | ¥7,370 | |
カスカウィン レポサド | レポサド(6-7ヶ月) | 38 | ¥8,800 | |
カスカウィン アネホ | アネホ(14-16ヶ月) | 38 | ¥9,990 | |
カスカウィン プラタ | ブランコ | 48 | ¥8,740 | ロット毎に味が違う・50-100%バガス発酵 |
カスカウィン タオナ | ブランコ | 42 | ¥12,230 | タオナ搾汁 |
カスカウィン セロデルス | ブランコ | 49 | ¥19,800 | 限定品・在庫僅少・タテマド |
カスカウィン アニベルサリオ | ブランコ | 46 | ¥16,280 | 限定品・在庫なし・タテマド |
カスカウィン タオナ レポサド1〜4 | レポサド | 43〜45 | 9,990~12,980 | 限定品・タオナを様々な樽で熟成 |
カスカウィン エクストラアネホ | エクストラアネホ(4年) | 43 | ¥19,800 | アメリカンホワイトオーク樽 |
カスカウィン エクストラアネホ フレンチオークフィニッシュ | エクストラアネホ(4年+6ヶ月) | 40 | ¥27,000 | 限定品・XAを6ヶ月フレンチオークで追熟 |
カスカウィン(Cascahuin)の作り方
カスカウィンの銘柄には主に2種類あり、一つがブランコ・レポサド・アネホのベーシックライン。こちらはカスカウィンのベースとなる作り方をしております。
次に上記表の中でプラタ以降の銘柄をプレミアムラインとさせていただきます。どの銘柄もベーシックよりも工程が複雑、数量限定となっております。(ベーシックとプレミアムの呼称は筆者が区別のために呼んでいるだけです)
ベーシックラインの作り方
まずはカスカウィンの基本的な作り方をしているベーシックライン(ブランコ、レポサド、アネホ)の製法を説明してまいります。
使用するアガベ・加熱
現在はテキーラの原料であるアガベは主に5年間栽培したものを使用しているそうです。2022年時点の情報のため、多少の前後はあるかもしれません。2018年以降のアガベ高騰により、7年以上のアガベは市場に流通しづらくなり、多くブランドで5年程度のアガベを使用する事になっているようです。
収穫されたアガベは発酵の前段階として加熱して糖化させます。アガベの加熱はいくつかのやり方がありますが、カスカウィンでは伝統的なマンポステラと呼ばれるレンガ釜で加熱されます。圧力釜に比べ、手間がかかるものの、味わいが香ばしく、通好みなものになります。
搾汁
搾汁はローラーミルと呼ばれる手法で搾汁します。ローラーミルはベルトコンベアの上を加水しながら潰され、搾汁していきます。カスカウィンの映像ではないですが、ローラーミルの映像を掲載しておきます。
発酵
発酵は、通常ラインだとステンレスの発酵槽とセメントの発酵槽を両方使用します。ブランコだとおおよそステンレスが70%、セメントが30%程度とのことです。実はこのセメント発酵槽というものはテキーラ業界の中でも大変レアな存在で、カスカウィン以外だと2蒸留所のみで、日本での流通となるとカスカウィンとエル-テキレニョのみです。カスカウィンには木樽の発酵槽もあり、3種類を比較すると味わいの複雑性は最も木樽が強いそうですが、次にセメントタンクだそうです。またセメントタンクは味の安定性もあり、メンテナンスも簡便であることから、現在も利用しているそうです。ちなみにセメントと言っても、セメントの上にガラス繊維を表面に貼り付けているそうです。
(2024年追記:当初カスカウィンのみ日本で流通と記載しましたが、2024年5月現在、エルテキレニョが発売されてカスカウィンのみではなくなりました)
以前は培養した酵母も使用していたそうですが、現在は蒸留所内に存在する環境自然酵母を使用して、発酵させているとのことです。人工的に培養した酵母を使用しないので、発酵が終わるまで時間がかかり、時期によっても異なるようですが、全部で5日程度かかります。
豆知識ですが、現在ワイン業界でもセメントタンクが見直されてきているそうです。味わいの複雑性とメンテナンスの簡便さが受けているようです。ただワイン業界では卵型にして、液体が循環するようにしているようです。
蒸留
蒸留は銅コイルを使用した単式蒸留機を2回使用します。カスカウィンの特徴としては一回目が終わったあとに、セルロースフィルターを通して過剰な油分を取り除くのです。その後は異物を取り除くことはあっても、成分に変化を与えるようなフィルターを行わないのが、カスカウィンの一つ特徴となります。
2回目の蒸留が終わると、54−55度くらいに蒸留液はなります。
多くのテキーラ蒸留所では瓶詰め前に冷却フィルターを通します。冷却フィルターを使うと沈殿物などを取り除けますが、同時に香味成分も減らすリスクがあります。そのようなこともあり、カスカウィンではメキシコ・日本向けの製品には冷却フィルターを使用しないそうです。
※その他の国向けでは一部冷却フィルターを使用するケースもあるそうです。並行輸入はあまり日本には入ってきていないようですが、正規輸入品を購入するようにしましょう。
安定化・熟成
その後ブランコは加水され、加水した水とアルコールなどが馴染むように最低でも一ヶ月程度は保存して安定化を図ります。そしてボトルに詰められ、出荷されるのです。
またレポサドについては、蒸留後の54−55度のものを、一度加水して45度程度にアルコール度数を下げた上で樽詰めされます。樽は2種類使用されており、一つはジャックダニエルの中古樽で80%がこちらを使用、残りの20%はアメリカンホワイトオークの35年前から使用している樽だそうです。6−8ヶ月経過した後に、この2つの樽を混ぜて加水し、アルコール度数を38.5度にするそうです。そこから一ヶ月程度、昔は発酵槽として使用されていたもので安定化を行うそうです。
アネホに関してはこの熟成工程が14−16ヶ月に伸びるとのことです。
プレミアムラインの作り方
通常ライン以外のボトルの作り方をご説明しますが、主に特徴的に異なるポイントをご説明してまいります。現在、購入できなくなっているものも含まれておりますが、ご容赦ください。
プラタ
プラタは数量限定ではなく、常に販売されているのですが、ロット毎にレシピを変えているため、その時の味は数量限定とも言えるこだわりが詰まった商品です。日本は現行だと979というロットと45というロットが販売しております。
元々テキーラが好きなバーテンダーの方を意識して、ハイプルーフ(高い度数)で味わいの濃いものを作ったそうです。
作り方の特徴として、まず発酵槽はセメント槽を100%使用します(通常ラインは30%のみ)。搾汁はローラーミルで行うそうです。発酵はバガスと呼ばれるアガベの絞ったあとの繊維を、発酵時に一部加え発酵させます。バガスを入れる量はロットによって調整しており、このような点からロットごとの味わいの際も出るそうです。
タオナ
タオナとはアガベを潰して搾汁するための数トンの石のことです。タオナを使用することで、繊維を切り裂かないことで繊維由来の味が出すぎないのが特徴です。ただしアガベから取れる搾汁量が減るので、効率は悪いです。またタオナの石を回す作業は機械化されていますが、人の手でアガベを敷いたり、混ぜたりすることで大変手間はかかるので労力としても大変です。
タオナでアガベをすり潰したあとは、残ったバガス(繊維)をプラタと同様に発酵時に使用します。バガスと一緒に発行するメッリトは、バガスの味わいがモスト(発酵された液)に移るだけでなく、発酵中の液に保温効果もあるそうです。
バガスは一回目の蒸留時に蒸留器内へ入れます。また蒸留は通常の蒸留器よりも小さい350リットルのステンレスと銅を使用した蒸留器となります。蒸留後は通常ラインよりも度数が低い46度で出てきますので、アルコール以外の蒸留液は増え、味わい深い味になります。ただバガスを蒸留器内に入れると、繊維が液にも混ざるし、蒸留所の中にカスが飛ぶなど事後処理が大変らしいです。その手間をかけてまで作り上げている銘柄だそうです。
タオナを使用し始めたのは、タオナの高騰によりアガベの生育年数が若いものが中心となったことが一つのきっかけだそうです。若いアガベだと繊維の個性が強く出すぎてしまうため、ローラーミルと呼ばれる繊維を切り刻む手法よりも、潰して搾汁するタオナの導入を決定したそうです。
アニベルサリオ
2019年に発売された限定銘柄。アニベルサリオは記念日といった意味で、現在の創業一族の初代Salvador Rosales Briseño氏の生誕100周年銘柄。現在はすでに日本では在庫は無いようですが、バーなどで飲める機会があったら必飲の銘柄です。
製法は徹底的に昔ながらの作り方にこだわっている点が特徴となります。まずアガベの加熱による糖化作業としては、タテマド(アーサンピット)と呼ばれる地面を掘って作った釜でアガベを蒸し焼きにします。こうすることで、アガベに燻製のような香りがつき、蒸留後でもスモーキーな香りを楽しむことができます。この手法はテキーラと同じルーツのお酒であるメスカルでは今でも一般的ですが、現在のテキーラでは使用されていない技術となります。
次に搾汁にはタオナを使用し、丁寧に搾汁していきます。搾汁後に発酵するために木桶とセメントタンクを使用します。木桶を使用するのはカスカウィンブランドではアニベルサリオとセロデルスのみとなります。
蒸留にはタオナと同じ350Lの銅&ステンレス蒸留器を使用。蒸留後に安定化のためにガラス製容器で保存させます。安定化のためにステンレスタンクを使うブランドは多いですが、ガラス製容器で保存するブランドは珍しいです。
セロデルス
セロデルスの名前の由来はカスカウィンをスペイン語約したものです。(カスカウィンはスペイン語以前の言語)
製法は主にアニベルサリオと同じですが、味わいはだいぶ違います。製法で明らかに異なるポイントとしては、木樽でのみ発酵している点となります。木樽を使うことで、味わいの複雑性がステンレスやセメント槽よりも増すとのことです。
またセロデルスの原料となるアガベは、エルアレナル(カスカウィンがある町)にあるカスカウィンの丘(以下Instagram写真の丘)と呼ばれる場所から収穫したアガベ(5年程度生育)を使用します。他にはアニベルサリオは製造を二回に分けて行った蒸留の原液をミックスしているそうですが、セロデルスは4種類の原液をミックスしています。
景田さんとお話していて最も印象的だったのは作り方が一緒でも、テキーラは出来上がるものの味が全く異なるそうです。逆にそこが小規模で作るテキーラの面白さでもあるとお話されていました。そのため、セルデルスとアニベルサリオの味わいが異なるのも必然ということです。
タオナ・レポサド1〜4
数量限定で製造されたタオナ・レポサドの1〜4です。
製法はタオナと蒸留までは同様の製法で、異なってくるのは蒸留したテキーラを樽熟成したのがこのタオナ・レポサドとなります。1〜4のバージョンがあり、それぞれ違う樽で熟成しています。
1(ウノ)はジャックダニエル(テネシーウィスキー)の中古樽、2(ドス)はアメリカンホワイトオークの新樽として35年前に購入されたもの、3(トレス)は今までカスカウィン蒸留所としては導入していなかったワイルドターキー(バーボン)の中古樽、4(クアトロ)はフレンチオークの中古樽で元々は別のテキーラ蒸留所が使用していたものを、購入したものです。レポサドなので一年未満の熟成ですが、明らかに味わいは異なっております。
エクストラアネホ
まだアガベが高騰する前に作ったテキーラを、加水後に48ヶ月アメリカンホワイトオークの樽で熟成したまま、ある意味放置していたそうです。その後ピポン(60年以上使用されている!)と呼ばれる木製の保存容器で安定化をはかるそうです。ピポンはいつからあるか分からないそうですが、元々は発酵槽として使用していたものを現在は使用しているそうです。
エクストラアネホは樽から出したあとに加水せず、瓶詰めされるため、ベーシックなアネホと比べると5度ほどアルコール度数が高くなっています。
現在日本で流通しているエクストラアネホはファーストロットで、メキシコ国内ではすでに在庫がなく、貴重な商品になっております。
エクストラアネホ・フレンチオークフィニッシュ
前述のエクストラアネホを半年ほどフレンチオーク樽で寝かせたものが、このフレンチオークフィニッシュです。43度のエクストラアネホは樽出し後には加水をしていませんが、フレンチオークフィニッシュは若干加水するため、40度となっております。
世界で246本限定、日本には120本限定だったそうです。現在は通販などでは在庫はなさそうです。バーで在庫を見かけたらぜひ飲んでみてください。
カスカウィン(Cascahuin)の各銘柄の味わい・おすすめの飲み方
筆者の手元にあり、複数回試すことができるボトルのみ記載しております。
ベーシックライン
ブランコ
香り:良く加熱されたアガベ、ベジー(野菜感)、ハーブ、レモン、ミネラル
味わい:ストレートな甘さに辛みとうっすら苦み
アフターノート:心地よいアガベの香りにオレンジやアニスのような香りも混じる
飲み方:ソーダ割、ロック、ストレート、カクテルのベースでもOK
おススメ度合い:☆☆☆☆+
カスカウィンといえばこの香りという個性がある仕上がり。ロットごとに当然味は異なるが、どの味わいにも共通する味わい。ベーシックなラインながら複雑性が十分にある。2022年から若干値段は上がってきているが、この味であれば十分お勧めできる逸品。
レポサド
香り:アガベ、キャラメル、オレンジ、ミネラル、熟したフルーツ
味わい:ストレートな甘さと辛み(ブランコよりは薄く感じた)
アフターノート:アガベとチョコレート、若干グレープフルーツのような甘くビターな香りが心地よい
飲み方:ストレートとソーダ割がおすすめ
おススメ度合い:☆☆☆☆+
カスカウィンらしさを十分に感じつつ、樽感がちょうどよく楽しめる。レポサドはブランドによって樽感や香料が強いとソーダ割には合わないと個人的には思っているが、カスカウィンはソーダ割でも嫌な感じが出ずにむしろストレートでは感じずらい香りも楽しめると思う。
アネホ
香り:アガベ、オレンジピール、オーク、蜜
味わい:ストレートな甘さに樽由来の苦みが若干出て、辛みはさらに薄く感じる
アフターノート:アガベ、ハチミツ、オレンジ
飲み方:ロック・ストレートがおススメ
おススメ度合い:☆☆☆☆−
アルコール感のキックが無く、バランスよく楽しめるアネホ。カスカウィンらしさも当然根底にあるが、それ以上に全体の心地よい香りが好きな銘柄。
プレミアムライン
プラタ(979)
香り:アガベ、ベジー、オレンジ、草っぽさ、ミネラル
味わい:甘さと辛さがしっかりと主張。
アフターノート:アガベ感が長く楽しめる
飲み方:ソーダ割かストレート
おススメ度合い:☆☆☆☆
ロット979は1万円以下で買えるので、買うなら今のうちに購入すべき。次のロット以降は原料高、燃料高、メキシコ国内のインフレ、輸送費高でだいぶ値段は上がってしまうようである。購入するなら早めが良い。
タオナ
香り:アガベ、ミネラル、複数の柑橘系、ベジー、オイリー
味わい:優しい甘さに心地よい辛さが感じる。
アフターノート:シトラス、ベジー、アース(土っぽさ)、オリーブ
飲み方:ソーダ割かストレート(大変贅沢だが、ソーダ割はぜひ試してみ欲しい)
おススメ度合い:☆☆☆☆+
だいぶ値段は張るが、値段以上のエレガントで心地よい香りと味わいを楽しめる。ソーダ割をするとストレートでは感じられなかった複雑な香りが花開くようで、大変おススメ。
アニベルサリオ
香り:スモーキー、アガベ、アース、ベジー、オレンジ
味わい:甘さだけでなく旨味、辛さが後から来る。
アフターノート:引き際は甘いアガベの香りが心地よい
飲み方:ストレート
おススメ度合い:☆☆☆☆
手に入らない銘柄だが、機会があったら是非飲んでみてほしい。はじめは結構スモーキー感が前に来て、徐々にタオナのような様相を見せ始める。メスカルに精通しているわけではないが、メスカルに共通するおいしさを感じる。
セロデルス
香り:アガベの後にスモーク感が来る。野菜でも漬物ののような感覚。出汁っぽさも感じる。
味わい:心地よい甘さに辛さが徐々に顔を出す。
アフターノート:甘さが長く続き、スモーキーも併せ持ち、アニスのような感覚が続く
飲み方:ストレート(もったいないけど、ソーダ)
おススメ度合い:☆☆☆☆++
日本に在庫があるうちに買うべき一本。アニベルサリオはメスカルに近い感覚だとすると、セロデルスは明らかに別の次元にあると感じる。うまくスモーク感と一体化できていると思う。
エクストラアネホ
香り:アガベ、キャラメル、バニラ、ドライフルーツとチェリー
味わい:甘さが前面に感じる。辛みと苦みは若干感じる。
アフターノート:アガベの香りと様々なドライフルーツを混ぜたような香り、樽感を感じる
飲み方:ストレート
おススメ度合い:☆☆☆☆+
カスカウィンらしさは流石に薄れるがちゃんと感じる。熟成感に溢れ、テキーラを飲み慣れない人でも飲みやすい銘柄の一つ。記事を書きながらよだれが出てきそうになる。
編集後記
カスカウィンが買える場所
カスカウィンが飲みたくなったら、一番豊富に揃っているのはカスカウィンのインポーターであるフィディア社のBASE直販サイトが様々な銘柄が揃っています。
その他楽天・AMAZONなどで購入したい場合は以下リンクから購入してください。
参考情報
ミーティア:https://meetia.net/interview/kageta-tetsuo_cascahuin/
カスカウィン日本公式サイト:https://cascahuin.jp/
テキーラ道場氏note:https://note.com/tequila_dojo/n/n5ad255dca4ca
Nikkei Style:https://style.nikkei.com/article/DGXZQOKC111JE0R11C22A1000000/
豆知識_カスカウィンの読み方
ちなみにブランドのローマ字表記はCascahuinですが、6文字目に「h」がありますが、前述の通り読みはカスカウィンですので、こちらは読みません。
スペイン語では「h」を読まないため、発音しないのです。
間違えてカスカフィンって読んじゃわないように気をつけてくださいね!
ちなみに日本でもおなじみのSauza(日本だとサウザ)は、現地ではサウザではなく、サウサと読みます。日本ではサウサで通じるバーテンダーさんも少ないので、サウザで良いとは思いますが豆知識として覚えておいてください!
参考_Langlandのスペイン語コラム(上記の読みのルールも書いてあります)
カスカウィンの日本向けサイト
カスカウィンの日本向けサイトの当主/生産マネジャー/景田氏のメッセージもぜひ合わせて御覧ください。彼らが以下に真摯にテキーラを作っているか見て取れます。
テキーラをもっと知りたくなかった方用リンク集
テキーラ自体をもっと知って、楽しく飲みたいという方は、以下リンクをご参考にしてください。。
筆者渾身のテキーラ解説動画
筆者のおすすめテキーラ
テキーラの基礎知識
テキーラの一歩進んだ知識
著者情報
- 著者名:テキーラダディ
- 本業:非アルコールの食品系業界のマーケティング部門
- 資格:日本テキーラ協会認定テキーラマエストロ(100期代)
- テキーラ関連の経歴:2009年に北海道にあるバーで本格的なテキーラに出会い目覚める。2023年にはハリスコ州内の蒸留所見学を果たす。テキーラ以外にもスコットランドのアイラ島など各地の蒸留所、国内のウィスキー蒸留所、シャンパーニュ、ボルドー、ブルゴーニュ、国内の酒蔵、ブリュワリー、ワイナリーなど全世界のアルコール製造現場を巡る。
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