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サウザ家5代目が作るフォルタレサ(Fortaleza)ブランドをレビュー&解説

★★★★

本サイトはテキーラの魅力を発信するため、未成年者の閲覧を禁止いたします。

日本でもバーやクラブで取り扱いの多いサウザというテキーラブランドがあります。そのサウザの創業家が、サウザとは別で作っているフォルタレサというブランドを今回はご紹介いたします。日本での地名度はまだまだ低いですが、世界的には大変人気のブランドなので、ぜひご覧になってください。

テキーラ作りの名門サウザ家5代目が作るフォルタレサ(Fortaleza)

今回ご紹介するフォルタレサは、サウザという有名なテキーラブランドの創業家で、創業者から5代目が新たに創業したブランドとなります。サウザは現在は創業一族からは離れておりますが、まずサウザ家の功績を辿っていきます。

Sauzaの読み方は「サウ」と濁音をつけないのが正しい読み方です。
ただ日本では発売以来、「サウ」と濁音をつけるのが一般的なため、本稿では伝わりやすさを優先するため、濁音をつけて記載させていただきます。

テキーラを世界の人気蒸留酒に押し上げたサウザ家

サウザはドン・セノビオ・サウザという人が1873年に蒸留所を作ります。セノビオはそれまでアガベで作られた蒸留酒はメスカルと呼ばれていたものを、テキーラ村で作ったことからテキーラという名前で売り出します。ただのメスカルの中の地酒であったテキーラ村のメスカルを「テキーラ」とブランディングしたのでした。
そのことからテキーラはブランド化され、人気が高くなっていきます。

ドン・セノビオ・サウザ Don Cenobio Sauza 1842 - 1903
サントリー社サウザの歴史より

二代目のエラディオは樽売が主流だったテキーラを瓶売にするなどして、市場の中でも基盤を盤石にしていったそうです。

ドン・エラディオ・サウザ Don Eladio Sauza 1883 - 1946
サントリー社サウザの歴史より

三代目のドン・フランシスコ・ファビエル・サウザは海外の拠点を増やし、テキーラというお酒を世界中に認知させたそうです。また彼は1974年にメキシコ政府に働きかけ、テキーラの原産地呼称を制定したことです。当時、テキーラは模造酒などが徐々に横行し始めそうだったため、テキーラというお酒の品質安定を目的として制定したそうです。これが功を奏し現在、テキーラの世界的な地位があるといっても過言ではないでしょう。

ドン・フランシスコ・ファビエル・サウザ
サントリー社サウザの歴史より

テキーラブランドを売却したサウザ家

1970年代から徐々にサウザ蒸留所の株を売却し始め、1988年までにサウザの経営はスペインの大手ブランデー製造会社のペドロメックに売却されました。その後、様々な企業の手に渡り、現在はサントリーの子会社、サントリービームの蒸留所として運営されています。

5代目がテキーラづくりを独自にスタート

3代目のファビエル氏の孫、創始者から数えると5代目のギレルモ・エリクソン・サウザ氏はテキーラ業界を離れていました。ただ一族の家業であったテキーラを作りたいという情熱が高まり、テキーラ作りを決めます。

3個あったうちの蒸留所が1個だけ売却されずに、サウザ家のものとして残っていました。その蒸留所の名前がラ フォルタレサ蒸留所です。この蒸留所は1968年に閉鎖され、ミュージアムとして残っていたため再興するのは大変な労力だったそうです。1999年に再建を決め、2005年に満を持して最初のフォルタレサをリリースしました。

引用:http://www.cocktailsandbars.com/guillermo-erickson-sauza-tequila-fortaleza/より

祖父たちへの敬意を持ったテキーラづくり、ロス アブエロス(Los Abuelos)

フォルタレサは実はメキシコ以外の海外向けの名前で、メキシコ国内向けのブランドはロス アブエロスという名前で作っております。中身は基本的には変えず、名前だけ変えています。その名前の由来は「おじいさんたち」という意味だそうです。先祖たちへの敬意からこの名前にしたそうです。そして、テキーラの作り方も祖父たちと同じ、伝統的な作り方で作るということを決めていたそうです。次項でテキーラの作り方について説明してまいります。

ファビエル氏とギレルモ氏、1968年の写真(引用:tequilafortaleza.comより)

世界中のテキーラマニア・バーで愛されているフォルタレサ

テキーラの知名度としては、フォルタレサは日本ではサウザと比べるとまだまだ低いかと思いますが、世界中のテキーラマニアやお酒好きから愛されるブランドです。

実際にDrink Internationalというサイトが世界の受賞歴などがあるバー約100店における調査では、調査したお店でフォルタレサは売れたテキーラブランド(Best Selling Brand)として7位、流行している銘柄(Top Trending Brand)として1位になっております。

フォルタレサの作り方

The伝統的な製法を採用

フォルタレサはギレルモ氏がお爺さんたちの作っていた時代の作り方を目指しただけあり、伝統的な作り方をします。
十分に成長させたアガベを収穫した後、まず古いマンポステラ(石釜)で加熱をします。アウトクラベと呼ばれる圧力釜で加熱・透過させるテキーラも多いですが、しっかりとマンポステラで36時間加熱させます。マンポステラを使用することで、加熱された甘いアガベの香りになります。

引用:tequilafortaleza.comより

フォルタレサの搾汁方法

加熱されたアガベから糖分を搾汁するのにも、一般的にはローラーミルという手法を使うメーカーが多い中、タオナと呼ばれる石臼で潰して搾汁を行います。
タオナのほうが搾汁時に絞りカスに糖分が残ってしまうため、搾汁の効率は悪いです。また人でも下の写真からわかるように人手もかかるため、効率面から言うと大変悪いです。

ただローラーミルに比べて繊維を必要以上に切り裂かないため、繊維の雑味が少ないなどの理由からテキーラ愛好家から人気があります。ただメタノールの割合が低くなり、味わいもテキーラ好きから好まれる傾向にあります。
参考:TASTE TEQUILA

引用:tequilafortaleza.comより

フォルタレサの発酵・蒸留

その後、発酵は木樽で行われます。発酵は自然発酵と呼ばれる室内に漂う酵母を使用します。自然発酵のほうが、人工的に培養した酵母を使用するよりも時間がかかります。

またタオナで搾汁されたテキーラはバガスと呼ばれる絞りカスも入れて発酵するブランドが多いですが、フォルタレサに関してはバガスを入れずに発酵させます。

発酵した液体を蒸留しますが、たいへん小さな単式蒸留器で2回蒸留されます。多くのテキーラブランドでは55ー60度まで2度の蒸留で上がることが多いですが、フォルタレサでは46度までしか上がりません。
スチルストレングスは加水はせず、ほかの銘柄も46度から40度までしか下げないため、他のブランドに比べ味わいが大変濃いものになるのです。

tequilafortaleza.comより

フォルタレサの熟成

フォルタレサは樽の主張が強すぎない熟成がポイントです。テキーラらしい味わいを感じつつ樽の香りも感じられると言った味わいに仕上がっております。通常ラインに置いてはレポサドもアネホもバーボンの中古樽を使用しております。チャート呼ばれる樽への火入れが弱めであることが推察されます。

フォルタレサは無添加

テキーラは1%まで添加物を加えることが規定上可能となっております。多くのブランドでは色味の調整や甘みの調整、ロット毎の味のブレを少なくする目的などで添加物を加えております。一方、昨今のテキーラの中でもマニアに好まれるブランドは無添加でアガベらしい旨味、酵母による働きを存分に感じられる作りとなることが多いです。

フォルタレサは当然のごとく全銘柄無添加で、TequilaMatchMakerという米国のテキーラレビューサイトの無添加認証を受けております。また無添加であるがゆえに、ロットごとの味わいの違いがあります。この違いを残念ではなく、楽しいと捉えられるとテキーラの楽しさは広がると思います。フォルタレサのロットはボトルごとに裏に記載されております。

ギレルモ氏による解説

以下ではギレルモ氏によるテキーラづくりに関する解説です。英語ですが、ゆっくりと喋ってくれているので、ぜひ見てみてください。大変美味しそうに焼かれたアガベが出てきます。

引用:tequilafortaleza.comより

フォルタレサのラインナップ

フォルタレサの日本で発売されている銘柄はベーシックラインのブランコ2種、レポサド、アネホになっております。また限定銘柄として毎年冬にウィンターブレンドというシリーズが発売されます。

ウィンターブレンドは毎年大人気のため、すでに終売している可能性もありますので了承願います。

ベーシックライン

銘柄名クラス度数値段備考
フォルタレサ・ブランコブランコ40¥8,500
フォルタレサ・スチルストレングスブランコ46¥10,000無加水
フォルタレサ・レポサドレポサド(7ヶ月程度)40¥9,000
フォルタレサ・アネホアネホ(18ヶ月程度)40¥11,500

ウィンターブレンド

銘柄名クラス度数値段備考
フォルタレサ・ウィンターブレンド2019レポサド46¥13,000フレンチオーク新樽11ヶ月と通常樽(中古バーボン)6ヶ月をブレンド
フォルタレサ・ウィンターブレンド2020レポサド46¥13,000熟成タイプのビール用樽、新樽フレンチオーク(2019と同じ)、通常樽6ヶ月10ヶ月をブレンド
フォルタレサ・ウィンターブレンド2021レポサド46¥19,800マルサラワイン中古樽(フレンチオーク)10ヶ月と通常樽6ヶ月をブレンド
フォルタレサ・ウィンターブレンド2022レポサド46未定日本では22年12月現在未発売

フォルタレサの味わい・おすすめの飲み方

前述の通りロットにより味わいは異なりますし、私の感性が全て正しいわけではないので、それぞれのロット・皆様の感性で味わってください。

フォルタレサ ブランコ

香り:加熱されたアガベ、野菜、ミネラルを感じます。私の飲んでいるロット(110−B)はスチルストレングス(04ーS)に比べてシトラス感はあるもののが弱いと感じました。(能動だけの問題ではない)
味わい:口に含んでみると、アガベの甘さ、辛さを感じ、口の中で徐々にバター・オリーブのような濃厚さが広がります。
アフターノート:野菜とアガベの甘さが花から抜け、心地よさを感じます。

おすすめの飲み方:◎ストレート、△ソーダ割り・ロック

おすすめ度:☆☆☆☆

フォルタレサ スチルストレングス

香り:まず香りを確認してみると、しっかりと加熱されたアガベ、胡椒、土っぽさ、グレープフルーツ、オリーブ、草っぽい青さを感じます。
味わい:口に含むと柔らかい甘さ、辛さがあり、バターのような芳醇さを感じると思います。
アフターノート:鼻を抜けるアフターノーズは、グレープフルーツなどのシトラスのニュアンスが強くなる印象。
加水していないだけあり、パワフルな香りと味わいをしっかりと感じられます。

おすすめの飲み方:◎ストレート、○ロック、ソーダ割り
せっかくなのでストレートで飲んでいただきたいです!味わいの濃さを感じられるかと思います。個人的にはソーダ割りのほうが普段好きですが、ロックのほうがしっくりと来ました。

おすすめ度:☆☆☆☆+
 ※2022年12月現在在庫切れしているようです

フォルタレサ ・レポサド

香り:アガベ、キャラメル、バター、若干バニラを感じます。
ブランコのときに感じた野菜/草/オリーブと言った青っぽい香りは感じにくくなります。
味わい:ストレートだが柔らかい甘さ、辛さ
アフターノート:アガベ感とキャラメル、最後に草のニュアンスを感じます。

おすすめの飲み方:◎ストレート、○ロック、△ソーダ割り

おすすめ度:☆☆☆☆

フォルタレサ ・アネホ

香り:アガベ、キャラメル、バニラ、ハニー、オレンジっぽさが若干
バニラはレポサドよりもバランス的に強く出ていました(ロット差かもしれません)
味わい:ストレートな甘さ、苦味を感じ、最後に辛味が出てきます
アフターノート:アガベ、オレンジ感

おすすめの飲み方:◎ストレート、△ソーダ・ロック

おすすめ度:☆☆☆☆+

フォルタレサ ・レポサド・ウィンターブレンド2020

筆者の手元に唯一ある2020年をレビューします。他の銘柄はバーでしか飲んでいないのであまり自信ないですが、個人的には特に好きな年度です。

ブラインドテイスティングの様子

香り:アガベの裏にシナモン、チョコレート、シトラス(オレンジピールのチョコがけのような印象も)、ポーターという種類のビールっぽさ
味わい:ハッキリとした甘さとビター、引き際に辛味を感じます
アフターノート:オーク、ドライフルーツ

おすすめの飲み方:◎ストレート、ロック、○ソーダ割り

おすすめ度:☆☆☆☆+

※リンク先は2020じゃない可能性あるので注意

定性情報

NOM:1493
蒸留所:Tequila Los Abuelos, S.A. de C.V.
エリア
 蒸留所:ハリスコ州バジェス地方
 アガベ産地:ハリスコ州バジェス地方
加熱方法:マンポステラ(石釜)
搾汁方法:タオナ
加水:地下水
発酵槽:木製発酵槽(バガス無し)
蒸留回数:2回
蒸留器:銅製単式蒸留機
熟成樽・期間:銘柄一覧に記載
度数:通常ライン:40度、スチルストレングス・ウィンターブレンド:46度
おすすめ度:☆☆☆☆〜☆☆☆☆+(☆5個が最高)
(上記はTequila match makerと製造元HPを参考にして作成)

編集後記

買いたい場合は、、、

本格的な作り手のフォルタレサ。飲みたくなってみたという方は、ぜひ以下からご購入して見ください。

テキーラをもっと知りたくなかった方用リンク集

テキーラ自体をもっと知って、楽しく飲みたいという方は、以下リンクをご参考にしてください。。

筆者渾身のテキーラ解説動画

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おすすめ銘柄
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テキーラの基礎知識

テキーラの一歩進んだ知識

著者情報

  • 著者名:テキーラダディ
  • 本業:非アルコールの食品系業界のマーケティング部門
  • 資格:日本テキーラ協会認定テキーラマエストロ(100期代)
  • テキーラ関連の経歴:2009年に北海道にあるバーで本格的なテキーラに出会い目覚める。2023年にはハリスコ州内の蒸留所見学を果たす。テキーラ以外にもスコットランドのアイラ島など各地の蒸留所、国内のウィスキー蒸留所、シャンパーニュ、ボルドー、ブルゴーニュ、国内の酒蔵、ブリュワリー、ワイナリーなど全世界のアルコール製造現場を巡る。

Twitterはおすすめ銘柄などを発信

筆者のインスタでは蒸留所の美しい風景などをアップしています。ぜひフォローしてください!

Tequila Fortaleza with founder Guillermo Sauza in Tequila, Jalisco, Mexico – The Tequila Tester

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