本日はパトロンシリーズの中でも大変手がかかる製法を全ての原料に対して行っているロカシリーズのレポサドを紹介していきます。
タオナを使用したテキーラのなかでは安価に手に入る一本です。
パトロンの中でもロカシリーズとは
ロカとはスペイン語で「岩」 という意味です。パトロン ロカ シリーズは大型の石臼(タオナ)で原料のアガベを加熱後に引いて圧搾します。
パトロン ロカシリーズではタオナでの搾汁のみを使用しているため、ロカという名前がついたようです。
パトロンはセレブに受けて世界的に人気になったブランド
パトロンは、もともとメキシコ企業ではなく、アメリカでヘアケア用品を販売していたジョン・ポール・デジョリア(John Paul DeJoria)という人物が事業パートナーと共同で設立したブランドです。
ディジョリア氏は、最高品質のテキーラを作った上で、自身のアメリカにおける美容室ネットワークなどでプロモーションを行いました。
優良な顧客たちはパトロンに惚れ込んだ結果、どんどん口コミでブランドを広げたことで今の世界的なブランドである地位を築き上げたそうです。
俳優・監督としてトップクラスのクリント・イーストウッドでさえもパトロンのファンであると言われるほどです。
その中でもパトロンのロカシリーズは手の混んだ作り方をしております。
丁寧に長期間作られたアガベ
パトロンは原料のアガベづくりにもこだわっており、独特な甘味を出すために糖度に一定の基準以下のものは採用しないようです。
またアガベの栽培年数は8年程度と自社のサイトでも記載されております。
また収穫したアガベは通常、カットせずに加熱、もしくは半分にカットされるのですが、パトロンでは熱の通りやすさから1/6にカットされ、苦味のもととなるコゴージョも取り除かれます。
(アガベをもっと知りたい方向け記事)
タオナのみを活用するロカシリーズ
圧搾してアガベから糖分を抽出するとき、通常のパトロンではタオナとローラーミルの2種類の手法を活用します。
一方ロカでは前述の通り、タオナのみを使用します。
タオナとは巨大な石臼を転がして圧搾する手法です。百数十箇所ある蒸留所の中でも、10箇所の蒸留所でしかタオナは使用されていません。
ローラーミルに比べて、手間と時間、圧搾率が悪いので現代ではあまり使われなくなっておりますが、一部機械化することでパトロンでは採用しております。
またタオナで圧搾した後、絞りカスのバガスと呼ばれる繊維を発酵槽に入れることで、バガス香(麦わらのような香り)と呼ばれる香りを出します。
日本で売られているタオナ圧搾・バガス発酵のものは1万円弱〜のものばかりですが、パトロンロカは並行品しかないこともあり5千円前後で買えるのは、タオナのエントリーとしては良いと思います。
(タオナ・圧搾などを知りたい方向け記事)
味の特徴
香りはよく加熱されたアガベ、オレンジ、ジンジャーを感じます。
またバガス発酵に共通するニュアンス(バガス香)も感じます。バガス香はテキーラマエストロの講座だと麦わらと言った表現をされますが、近しいニュアンスをこのロカからも感じます、
飲んでみると、甘さを感じつつ、ヴァニラ、胡椒のようなスパイシーさ、心地よいチョコレートのような苦さを感じます。
オススメの飲み方
間違いなくストレートがおすすめです。
強いようでしたら、水を数滴入れるか、小さい氷を一個だけ投入するのがお良いと思います。
ロックやソーダ割りでも良いとは思いますが、バガス香は感じず楽はなってしまいます。
定性情報
NOM:1492
蒸留所:Patrón Spirits Mexico, S.A. de C.V.
エリア
蒸留所:ハリスコ州ロスアルトス地方
アガベ産地:ハリスコ州ロスアルトス地方シエネガ
加熱方法:マンポステラ(石釜/)
搾汁方法:タオナ
加水:不明
発酵槽:木製発酵槽
蒸留回数:2回
蒸留器:銅製蒸留器
熟成樽:バーボン中古樽
熟成期間:不明(2ヶ月以上1年未満)
度数:42度
相場:5,000円(記載時の大体の値段)
おすすめ度:☆☆☆☆ー
(上記はTequila match makerと製造元HPを参考にして作成)
編集後記
買いたい場合は、、、
いかがでしたでしょうか。
正直、タオナ製造のテキーラの中では、味わいだけで言えば味の複雑性が弱く、トップクラスとは言いづらいのですが、他のフォルタレサやカスカウィンに比べるとお手頃な価格を鑑みると、大変おすすめな一本です。
(タオナ界のコスパ系?)
飲みたくなってみたという方は、ぜひ以下からご購入して見ください。
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著者情報
- 著者名:テキーラダディ
- 本業:非アルコールの食品系業界のマーケティング部門
- 資格:日本テキーラ協会認定テキーラマエストロ(100期代)
- テキーラ関連の経歴:2009年に北海道にあるバーで本格的なテキーラに出会い目覚める。2023年にはハリスコ州内の蒸留所見学を果たす。テキーラ以外にもスコットランドのアイラ島など各地の蒸留所、国内のウィスキー蒸留所、シャンパーニュ、ボルドー、ブルゴーニュ、国内の酒蔵、ブリュワリー、ワイナリーなど全世界のアルコール製造現場を巡る。
Twitterはおすすめ銘柄などを発信
筆者のインスタでは蒸留所の美しい風景などをアップしています。ぜひフォローしてください!
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